透析患者のかゆみ
竹田真一・沖縄寿光会・与勝病院(2016年9月6日掲載)
7割経験、治療対象に
透析患者にとって、かゆみは最も多い皮膚症状の一つです。大規模調査によれば、透析患者の約7割にかゆみの経験があり、女性より男性に多く、30歳以上、透析歴5年以上に多く見られます。睡眠障害などのQOL(生活の質)低下のみならず、透析患者の生命予後にも関連すると言われ、皮膚掻破により皮膚損傷や二次的感染を生じるので、透析現場ではコントロールすべき治療の対象になっています。
かゆみの原因として、オピオイド物質を介する中枢性のかゆみや、皮膚乾燥に伴う末梢性のかゆみのほか、透析の合併症であるカルシウム・リン代謝異常や二次性副甲状腺機能亢進症などの関連が考えられています。
また、腎移植によりかゆみは改善するため、透析で除去しにくい尿毒症物質が関与しているとも考えられています。それでは、透析のかゆみにどう対処すればよいのでしょうか?
一つ目に、透析・内科的アプローチがあります。透析で除去しにくい物質に対して、透析効率の改善や生体適合性の高い透析膜に変更します。合併症に対して、リン吸着薬や副甲状腺ホルモン分泌抑制薬などを投与します。二つ目に、皮膚科的アプローチとして、皮膚乾燥に対して、過度の入浴、せっけん、皮膚摩擦、エアコンのかけ過ぎを避けて保湿ケアや抗ヒスタミン薬を使います。飲酒、暖房、衣類の刺激、香辛料もかゆみを誘発するので避けてください。また、紫外線を用いた光線療法(ナローバンド中波長療法)も有効です。
三つ目の手法として、新しい内服治療薬があります。中枢性のかゆみに対して、κオピオイド作動薬がかゆみを抑制することが分かり、ナルフラフィン塩酸塩が承認されました。当院においても、今まで十分な効果がなかった患者に改善が認められるようになりました。
このような透析技術や治療薬の進歩により、これまで諦めていたかゆみに対してさまざまなアプローチが可能となり、「透析患者はかゆくない」と言える時代が来るかもしれません。