医療との付き合い方
高江洲義滋・KIN放射線治療・健診クリニック(2016年8月30日掲載)
個人の人生観を尊重
先日、知り合いががんで亡くなりました。まだ40代で下の子は3歳とのことでした。このような話を聞くと、早期発見・早期治療が大切なんだという気持ちになります。
症例としては多くありませんが、健康に見える20代の人にもがんは発生します。そして、がん死に至ることもあります。やはり、健康診断を受けて、がんの早期発見・早期治療に努めなければ、悔いを残すということになりそうです。
一方、「人間の死に方」久坂部羊著、幻冬舎新書を読みますと、また考えてしまいます。その本は、医者であり作家である久坂部さんが、医者である父親を看取(みと)った際の経緯を記したものです。
その本によりますと、父親は、現在の医療には否定的で、検査や治療はほとんど受けない人だったようです。そして、がんを宣告された際、「しめた!これで長生きせんですむ」と叫んだそうです。ただ、父親が医学の常識を無視して自由奔放に生きた背景には「そのために早死にしたり、病気が悪くなってもあきらめるという強い覚悟があったから」だそうです。
それでは、私たちはどのように健康を維持し、医療に接していけばいいのでしょう。その答えは、その人の人生観そのものであり、唯一の答えなどないと考えます。
でも、「唯一の答えはない」と言われると、ますます悩ましくなるのではないでしょうか。「健診を受けなくてもいいが、自己責任ですよ」と言われているようなものですから。
一つの考え方として、「早期発見・早期治療」と「自然を受け入れること」のどちら側によりスタンスを置くかを考えるというのはどうでしょうか。例えば、やることがある時期は(年齢に関係なく)、つまり今、調子が悪くなると困るという状況の時は、早期発見・早期治療の方針でいく。ある程度やることはやったし、身体的負担の大きい検査や手術を受けずに生きたいという状況なら、現在の状況を維持することを考えていく。どちらか一方ではなく、バランスを考えることも大切だと思います。
その時の状況で医療との付き合い方を考えていくということです。
※注:高江洲義滋の「高」は旧字体