便失禁

仕垣幸太郎・おもと会 大浜第一病院(2016年8月02日掲載)

1人で悩まず相談を


 「気がついたら下着が汚れていた」


 「便意を感じてからトイレまで間に合わなかった」


 このような症状で悩んでおられませんか? このような状態を「便失禁」といいます。便失禁とは、おしりの筋肉や神経がうまく連動して働かず、そのために排便をコントロールできなくなる病気のことです。あまり聞かない話で、珍しいように感じる方も多いかもしれません。


 しかし、調べてみると日本ではおよそ500万人もの人々がこのような症状に苦しんでいると言われています。しかも、高齢者や介護を必要とされている方だけではなく、仕事や家事、育児などの日常生活を送っている方にもみられます。


 便失禁の問題点はただ単に“便が漏れる”ということだけではありません。日常生活が制限される、家から外に出るのをやめ社会活動へ参加しなくなるなど“生活の質”が低下することが一番の問題点です。しかし、便失禁は適切な治療で対処できる病気です。


 では病院での診察はどのような流れになるのでしょう。まずは何より大切なのが問診です。次に直腸と肛門の診察です。その他に直腸肛門の働きを調べる検査をいくつか行い、診断と治療の方針を決めていきます。


 治療は可能な限り身体への負担の少ないものから開始します。まずはお薬で排便のコントロールをします。他に直腸や肛門の動きのリハビリテーションを行うこともあります。肛門の周りの筋肉が切れている方はこれを修復する手術を行います。これらの治療を行っても便失禁が改善しないこともあります。そのような方には、肛門を締める神経を電気で刺激することにより、便が漏れるのを防ぐという新しい治療である「仙骨神経刺激療法」を勧めます。


 便失禁は改善できる病気です。おしりのこと、排便に関することで病院へ行くのは勇気がいることではありますが、1人で悩まずに肛門科へ相談しましょう。

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