障がい者の認知症

竹井太・県認知症疾患医療センター うむやすみゃあす・ん診療所(2016年7月12日掲載)

未知の分野の落とし穴


 皆さん、認知症と聞くとその対象年齢は何歳ぐらいだと想像しますか? そうですよね。高齢者の人たちですよね。しかし、現実には64歳以下で発症する若年性認知症の方も全国に4万人ほどいらっしゃいます。これを受け、厚生労働省は2015年に改正した認知症施策「新オレンジプラン」で若年性認知症のケアの充実を強調しています。


 それでは、また、お聞きします。あなたの想像される認知症の方の発症前の生活障害度はどれくらいでしょうか? そうですよね。皆さん健常者の方だとお思いですよね。皆さんの認知症イメージは知らず知らずのうちに高齢健常者を対象とされている方が大半だと思います。私も認知症の治療に関わりながらも、皆さんと同様の感覚でいました。


 しかし、ある日聴覚障がいの方をつたない手話を交えて診察させていただいていた時にふと気がつきました。この人が認知症になったらどうコミュニケーションを取り治療を進めればよいのだろう? 手話? 空書? 筆談? 理解力も違うし…。いったん認知症が始まれば有効なコミュニケーションは今より制限を受ける事は容易に想像できます。そこから空想が膨らみました。それでは、生活支援の必要な視覚障がい、精神障がい、知的障がいの人たちが認知症になったらどう対応すれば良いのか? いろいろ調べてみましたが、満足できる回答はありません。


 おそらく、この未知の分野は早急に解決していかなければならない落とし穴です。皆さんはどうお考えでしょうか? 少数であるが故に常に後回しにされる方々の苦難を私たちは十分に学習してきました。国もこの分野は認知症施策推進総合戦略として「新オレンジプラン」を進めていますが、まだ不十分な分野です。そこで、一つ考えられる事は、常に私たちみんながこの分野の事を忘れない事だと思います。「みんなで守ろうみんなの命」。私の活動モットーです。

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