小児の脱水
祖堅尚・そけん小児科(2016年6月7日掲載)
経口補水液で治療を
保護者の皆さんはお子さんが嘔吐(おうと)、下痢で水分がとれなくなり「脱水ではないか」と不安になったことがあるのではないでしょうか。子どもの体の約6割は水分から成り立っており、脱水とはこの水分が不足した状態のことをいいます。子供は大人よりも水分の失われるスピードが3倍早いため容易に脱水に陥ります。例えば大人で1日絶飲食にした状態を子どもに置き換えて考えると、8時間で同じレベルに達します。
脱水の最も多い原因は嘔吐下痢症による消化管からの体液の喪失です。大半がウイルス(ロタ、ノロ)によるものですが、一部細菌によるものもあります。夏の熱中症の本態も脱水と体温の上昇です。次に大事なのは脱水の程度です。(1)体重減少(2)元気がなくなる(3)皮膚粘液の乾燥(4)尿量の減少。さらに進むと意識がなくなるほどぐったりしたり、けいれんを起こしたりすることもあります。
脱水の治療は「失った体液」を補うことです。体液は「水と塩と糖」を含んでおり、脱水だからといって水分(麦茶、真水、白湯(さゆ))だけを与える保護者の方がいらっしゃいますが、これは間違いです。それだけを与えると体液が薄くなり、低ナトリウム血症になります。「水と塩と糖」がバランスよく配合された経口補水液が治療に適しています。
正しい飲み方は、「失った分の体液を4時間かけて少量ずつ何回かに分けて飲む」ことです。例えば、10キロの子どもが軽症の脱水になった時、500ccを4時間で与える。実際には5分ごとに10cc(ペットボトルのキャップ2回分)ずつ飲むと60分で120cc、4時間で約500ccになります。その後は下痢、嘔吐の都度60ccから120ccを補います。
脱水が是正され経口摂取が可能になれば、授乳児はミルク、母乳を、幼児は通常食を早めに開始して下さい。経口補水療法は簡単で有効な方法ですが、それでも嘔吐が止まらず脱水が進行する場合は、医療機関を受診する必要があります。
子どもは脱水を起こしやすいため、脱水のサインをよく観察して、早め早めのケアをしましょう。