多焦点眼内レンズ

安里良・安里眼科おもろまち駅前(2016年5月31日掲載)

白内障治療に効果的


 私たちは日常生活の8割以上を視覚に頼っています。眼(め)はその“視覚”を担う大変重要な器官です。40歳を過ぎた頃から老眼が始まります。白内障は、50歳前後から視力低下やまぶしさを訴える人が増え、80歳になるまでにはほとんどの人がかかる老化現象の一種です。現在は日本国内で年間約140万眼前後の白内障手術が行われています。


 白内障治療の画期的発明である眼内レンズが開発されたのは、第2次世界大戦中のことです。英国軍の戦闘機が被弾して操縦席の窓が割れ、その破片がパイロットの眼内に直接刺さってしまいました。通常、眼に異物が入れば炎症や拒絶反応が起こりますが、負傷兵の眼はそのようなことを起こすことがありませんでした。破片の素材は、硬いアクリル樹脂素材で作られており、それを知った英国の眼科医は、手術で取り除いた水晶体の代わりにアクリル製の人工レンズを入れて、白内障手術をすることを思いつきました。これが「眼内レンズ」の誕生で、世界で初めて眼内レンズが移植されたのは1949年のことです。


 それから時は過ぎ、白内障手術は目覚ましい進歩を遂げ、最近は遠近両用(多焦点)レンズなどのプレミア眼内レンズが注目されています。通常の単焦点レンズの場合、遠くにピントを合わせれば近見の、近くにピントを合わせれば遠見の眼鏡が術後に必要になります。それに対し、多焦点レンズは白内障の混濁が取れて明るくなるだけではなく、遠くも近くも見えた若い頃の機能を取り戻すことができます。もちろんすべての距離が見えやすくなるわけではありませんが、読書やお化粧が楽になります。


 2008年から先進医療に認定され、それまで全額自己負担だった費用のうち、先進医療部分以外の一般診療が健康保険で賄えるようになりました(厚生労働省に認められた先進医療認定施設で可能)。民間保険会社で先進医療特約などに加入されている方は費用の節約もできます。多焦点眼内レンズは誰でも利用できるわけではありません。術前検査で角膜および視神経が傷んでいる、または乱視が強い方など手術不適応の場合もあります。まずは専門の施設での検査をお勧めします。

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