あがり症

山本和儀・山本クリニック(2016年5月17日掲載)

社交不安症との違い


 大勢の人の前でのあいさつやスピーチを頼まれたものの、ちょっと自信がなくて、何かと理由をつけて断ってしまった経験のある人は多いと思います。しかし、断りきれずに、いったん引き受けたものの、そのことが頭から離れず、あいさつの最中にあがってしまい、しどろもどろで頭が真っ白になった体験や、なんとか終わった後も、ほっとして良かったと思うのでなく、あれで良かったのかと考え続け、次に頼まれたら、どうしようと不安になるなどの体験をされた人はどれだけいるでしょう。これは病気でしょうか? 性格の問題でしょうか?


 社会で生活していくためには、人前や不慣れな不特定の他人の前などの社会的な場面で自己紹介やあいさつ、スピーチをしたり、意見を述べたり、字を書き、歌を歌い、楽器を演奏し食事をとるなどの社交やパフォーマンスの遂行を求められることがあります。生きていく上で多少の緊張や不安はつきものですが、これが著しい緊張、不安や恐怖となって私どもを苦しめ、回避される時、「社交不安症」という病気とみなされます。


 かつて、「社交不安障害」「社会不安障害」「社会恐怖」と言われたこともあります。また、多くの日本人が悩んだ赤面恐怖、視線恐怖などの対人恐怖症も似た病気の仲間ですが、社交不安症と違って、人前より、少人数、特に一対一の対人場面のほうを苦手とすることが多いです。社交不安症と対人恐怖症は合併することもよくあります。


 あがり症や内気は病気ではありませんが、そのことがひどく苦痛であったり、学校や職場、家庭などの社会生活に支障をきたしているならば、病気と考えて治療を受けることをお勧めします。これまでよく用いられた抗不安薬・マイナートランキライザーに加え、社交不安症に効果のあるSSRIという種類の薬が開発されています。


 また認知行動療法により、行動実験をして認知の修正を図ったり、段階的に苦手な場面に自分をさらして慣れていくことでも改善します。

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