耳の異物
仲程一博・南西耳鼻咽喉科医院(2016年4月26日掲載)
生きた虫には食用油を
本日は耳の異物についてお話しします。耳の穴の大きさは成人で直径が1センチ弱、長さ3センチ弱で少し屈曲しています。この穴にいろいろ物が入り込むのが耳の異物(外耳道異物)です。
当医院のデータで恐縮ですが、過去12年間で416人の方が外耳道異物で受診されました。年平均で約35人になります。うち何人かは複数回受診されていますので、件数としてはもう少し多くなります。男性が228人、女性が188人でやや男性に多く、左右差はありませんでした。
また同時に、両方の耳に異物が入っていた方も17人おりました。耳の異物で複数回受診した方の中には、7歳から11歳までの間に9回も耳に異物を入れて来た男の子もいました。つい入れてしまう癖があったのでしょうね。それ以後は入れていません。
異物の種類としては、大きく分けて生きた虫などの生物異物とビーズや綿棒の先などの無生物異物があります。無生物異物でよく見かけるのは、綿棒の先やビーズ、紙片や砂つぶ、シャワーの水といったところでしょうか。女性では、ピアスの部品もよく見かけます。生物異物ではガやゴキブリなどの昆虫が多く、その他アリや小さな甲虫も見られます。犬につくマダニも耳に入り込むことがあります。
さて、ビーズや綿棒の先が耳に入った時は確実に取れそうなら試みても良いでしょう。しかし少しでも難しいと感じたら無理をせず耳鼻科を受診してください。また耳の異物で夜遅くから救急を受診する必要はまずありません。一晩くらいなら問題は起きないと思います。
耳に生きた虫が入り、動いている時はオリーブオイルなどの食用油を耳に注いでください。油で虫が死んで静かになるのを待ちます。その際、冷蔵庫で保存された冷たい油はめまいを起こすので避けましょう。痛みがあるようなら手持ちの痛み止めを服用します。生物異物は柔らかくちぎれやすいのでご自分で取ろうとせずに、耳鼻科を受診されることを勧めます。もし異物が入った耳の鼓膜に穴が開いているようなら、その旨を医師に申し出てください。