10代の妊娠
安座間誠・安座間産婦人科(2016年4月5日掲載)
正しい性の知識を
女性の晩婚化や出産年齢の上昇に伴い、20代での出生総数に対する比率は減る一方で、20歳未満、30歳以上での比率は増加傾向にあります。
10代の妊娠では妊娠継続を選択しないケースが多く、20歳未満では妊娠数の60%が人工妊娠中絶を行っていると報告されています。また、20歳未満の中絶ではその他の年代に比べ中期中絶が多く、体にも大きな負担がかかってしまいます。
妊娠の発見が遅くなれば自分の意志とは関係なく出産を選ばざるを得なくなります。望まない妊娠で生まれた子どもには虐待のリスクが上がることが指摘されており、日本産婦人科医会の公式サイトによると、虐待死した子どもの加害者の9割が実母で、年齢別では20歳未満が約3割で最も多いと報告されています。
これらの背景には、貧困や社会的な構造の変化などさまざまな要因が複雑に絡んでいると考えられますが、その要因の一つとして、わが国の性教育の不足が挙げられると思われます。
日本は性教育後進国であり、性教育の不足は妊娠適齢期や不妊に関する適切な情報提供の不足はもちろんのこと、10代の妊娠・出産が減らないことにも関連していると考えられます。
日本の中学校の性教育は、性行為に関する具体的な内容や避妊、人工中絶や異常妊娠があること、若年・高齢妊娠の危険性、妊娠適齢期に関する情報を入れていません。興味をあおってしまうのでは、との認識が学校関係者の中にあるようです。こうした実態に危機感を持ち産婦人科医や助産師が中学生や高校生に講義を行う取り組みを始めている自治体も出てきています。
国際的にも、10代の妊娠は中絶率が高いだけでなく、当事者の社会的・経済的な困窮や将来の見通しの不安につながるとして、各国の保健・公衆衛生当局が思春期の妊娠や出産を減らすための教育の普及に努めています。
ぜひご家庭でも話し合う場を作っていただき、また地城の機関などを利用して若い時期から正しい知識を身につけ、より一層社会での活躍が明るいものとなりますことを願っています。