死の在り方
源河圭一郎・介護老人保健施設オリブ園(2016年2月23日掲載)
「自分らしさ」考えて
厚生労働省の統計によりますと、現在の100歳以上(百寿者)人口は著しく増加して6万人を超えましたが、その80%が要介護の虚弱高齢者といわれています。医学の発達は寿命の延長をもたらしましたが、寝たきりの高齢者も増やすという皮肉な結果を招いています。
高齢社会では健やかに生きることが最大の課題ですが、その一方で疾病による不治・末期、あるいは老衰を迎えて単に死期を引き延ばすだけの延命措置を拒否する方向、すなわち、自分の死にざまを自分で選ぶ平穏死・尊厳死・自然死などに関心が寄せられています。
高齢者は一般に住み慣れた地域や自宅で人生を終わりたいと望んでいますが、その願いがかなえられない現実があります。以前は80%を超えていた在宅死が今では15%にまで激減し、代わりに病院死が90%となっています。このことは、無意味で過剰な延命措置の頻度も高いと推定されています。
その背景には高齢化社会および核家族化の著しい進行に伴って、家庭復帰がますます困難になったという事情があります。そのために高齢者介護・福祉施設の利用者が、そこで最期を迎えたいと希望することが多くなっています。在宅死や高齢者施設での看取(みと)りが普及すれば、濃厚な延命治療は行われないことが多く、人間としての尊厳を保ちつつ、自然で静かな最期を迎えるという尊厳死などに近づくと予想されます。
日本尊厳死協会では、本人の意志に基づいて延命措置を拒否するリビング・ウイル(尊厳死の宣言書)の普及を目指していますが、その内容は次の通りです。
1.私の傷病が現代医学では不治の状態で死が迫っている場合、単に死期を引き延ばすだけの延命措置はお断りいたします。
2.ただしこの場合、苦痛を和らげるためには、十分な緩和医療を行ってください。
3.回復不能な持続的植物状態に陥った時は、生命維持措置を取りやめてください。
この機会に自分らしい死の在り方について考えてみられてはいかがでしょうか。