排尿障害と前立腺肥大症

松岡政紀・かんな病院(2016年2月2日掲載)

生活の質にも影響

 若者の排尿は、尿線が太くてスムーズに出て18秒くらいで排尿を終えます。排尿後は尿の切れもよく、下着を汚すことはありません。また就寝中は朝起きるまでおしっこでトイレへ行くことはありません。これが若いころの排尿パターンです。


 ところが、男性の場合は50歳を過ぎたころから尿の出が悪くなります。夜間のおしっこの回数が多くなり、そのため、睡眠不足を来す事がよくあります。これは排尿で最も大切な膀胱(ぼうこう)・尿道に年を重ねると変化が出てくるためです。


 前立腺は膀胱の真下にあって、尿道を囲んであります。50歳を過ぎたころから前立腺が大きくなりだします。そして前立腺が尿道を圧迫し排尿時に十分には尿道が開かなくなります。症状は夜間におしっこがしたくて目覚め、時にはあまりたまっていないのにもかかわらず、おしっこを催し何回もトイレへ起きます。


 前立腺が大きくなるに従って尿線はさらに細く時には中断し、勢いが弱く、残尿が生じるため終わっても数滴の尿が出て下着をぬらすことがよくあります。


 治療は薬物治療と手術療法があります。薬物療法で多くの患者さんがほぼ正常の排尿に回復します。前立腺肥大症は良性腫瘍で健康を害することはありませんが、似た病気に前立腺がんが隠れていることがありますので、一度は泌尿器科で診察を受けましょう。


 症状が改善せずに尿が詰まれば、最終的には手術療法となり、内視鏡的に肥大した前立腺を切除します。症状を改善するには食事療法や運動療法も有効です。食事療法では食塩の摂取量を減らします。夕食後の果物(リンゴ、ミカン、ナシ等)や、利尿を促進する飲み物でお茶、コーヒー、アルコール類など夕食後は控えめにします。運動療法は腹筋運動やウオーキングなどが有効です。


 おしっこのトラブルによる睡眠不足は認知症のリスクを高めます。おしっこが気持ちよくできるようになれば、生活の質が高まります。睡眠を十分にとって快適な生活を送りましょう。

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