終末期の過ごし方

今村昌幹・県立八重山病院(2016年1月19日掲載)

その人らしく生きる

 新しい年を迎え、皆さんは今年の人生計画を立てられたでしょうか。


 多くの生き物は、子どもを産む生殖年齢を過ぎると寿命を迎えるのですが、人類はそれより長生きするように進化したのだそうです。長生きすることが人類の役に立つからなのだといわれています。


 最近では100歳の方は珍しくなくなりましたが、その一方で人生の終わりは老衰という自然の成り行きよりは、がん、脳梗塞、心臓や血管の病気、認知症や肺炎などによる病死がほとんどになりました。医療の進歩で昔は治せなかった病気の多くが治療できるようになってきました。そのおかげで、ますます長生きの方が増えています。


 私は病院の入院診療だけでなく、病院に通うことも入院もしないで自宅で過ごす方の在宅診療も担当しています。すべての人が迎える「死」に向かっている人生終末期の患者さんに対しては、病院での「治す」ための大量の点滴や強力な薬が効かず、かえって苦しめているのではないかと思われる場面を見ることがあります。


 逆に医師もご家族もすぐに亡くなるだろうと判断して最期を自宅で迎えようと帰る方が、その後何も治療せずに介護だけで長い方は1年余りその人らしく生きられることを経験します。


 病気によって長い短いはありますが、そのような方たちは自宅でご家族と一緒に過ごし、好物をいつでも食べたいだけ食べ、酒も楽しんで充実した日々を送られます。痛みがある方には強力な痛み止めを適切に使うことで、苦しむことなく病院での予測より長く過ごされます。


 今は介護の家族がいない一人暮らしの方でも、在宅医療・介護のサービスを組み合わせることで、最後まで自宅や介護付き住宅などで過ごすことができます。


 ご家族は身体的な介護を訪問看護や介護保険などのサービスに任せて、思い出の写真を見たりしながら親族ならではの心をつなぐ役割に重点を置いてください。


 年の初めに、人生の仕上げをどう過ごすか、ご家族での話し合いをお勧めします。

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