目は脳の鏡

渡邉孝・琉球大学医学部付属病院(2016年1月5日掲載)

症状に現れる病変

 「目は心の鏡」ということわざがあります。「目を見れば、その人の心の様子が読み取れる」という意味ですが、脳の病気による症状も、目の特徴的な症状として現れるので、「目は脳の鏡」とも言えます。徐々に症状が現れた場合は気づきにくいこともあり、また、沖縄は紫外線が強く、まぶしいほど鮮やかな景色だからなのか、のんびりとした風土だからなのか、来院時には大きな病変になっているというようなことがよくあるので、本日は、脳の病気で現れる特徴的な目の症状について概説します。


 眼球から入った光の刺激は、視神経へ伝わり、頭のほぼ真ん中で交差する視交叉(しこうさ)を経て、約半分は同側の脳、約半分は反対側の脳へ伝わります。このため、病変の部位によって、特徴的な視力・視野障害が現れます。片側の視神経の近くに病変があると、同側の視力が低下します。


 視交叉の近傍には間脳・下垂体があり、病変により視交叉が圧迫を受けると、両目の外側に雲がかかったような視野障害が現れます。初期には、上側から症状が出るので、上外側の方から雲が降りてくるように感じられます。視交叉より脳側の病変では、病変と反対側半分の視野が両目で狭くなるため、見えにくい側の物体や景色に気づきにくくなります。この他、頭蓋内圧が上昇すると、視神経にむくみが生じるので、両目に霧がかかったような視力低下が現れ、朝起床前に強くなる頭痛や吐き気を伴います。また、眼窩(がんか)内に病変ができると、徐々に眼球が突出してきます。また、結膜の充血と拍動性の耳鳴があった場合は、血管病変の可能性があります。黒い瞳の大きさに左右差があり、眼瞼(まぶた)が落ちてきた場合は動眼神経麻痺(まひ)、線が二重にずれて見える場合は、外眼筋麻痺の兆候です。


 脳の病気は、大きくなる前に早めに治療を行うと症状が改善しやすいという面があります。放っておくと、発見の時期が遅れますので、気になる症状がある場合は、早めに目の検査を受けることをお勧めします。

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