不妊症「原因」と「要因」
糸数 修・ウイメンズクリニック糸数(2015年12月22日掲載)
早めの確認、行動を
女性の晩婚化やキャリア志向で妊活年齢の上昇傾向がみられます。タレントの妊活がメディアで流れ、一般女性の意識も高まりました。しかし妊娠例の良い情報が強調され受診の遅れや治療を先送りするカップルも増えました。
不妊症には「原因」と影響する「要因」があります。女性の「原因」には、排卵や卵管の異常、筋腫や子宮内膜症があり、男性は造精機能の低下や精子を運ぶ管の閉塞(へいそく)があります。
「要因」としては加齢や環境による影響があり、女性は30歳を過ぎると妊娠力が減り35歳以降は著明な低下を来します。男性は女性に比べ緩やかですが、35歳ごろから精子の質の低下が起こります。働き盛りになるとすれ違いの生活で子づくりの機会や話し合いの時間が減り、転勤や転居、親や家族の健康問題などで充実した妊活ができなくなります。
治療は排卵日指導、人工授精そして体外受精・顕微授精等の生殖補助医療があります。日本では生殖補助医療で生まれる児は増加傾向で、今や出生児の27人に1人はこの治療によるとされます。機器や技術の発達で妊娠成績は向上していますが、まだ満足いくものではありません。
また、生殖補助医療は健康保険が適用されず、金銭的な負担も軽視はできません。しかし不妊原因の多くは卵子が精子と出会って受精卵(胚)になれないことや胚が子宮までたどり着けないことであり、生殖補助医療はそこを補える効果的な治療です。ただ胚が順調に育つか否かはその胚の質で決まり、医療者側もカップルと共に見守るしかありません。医療が補えるのは「原因」であり「要因」ではないのです。
相談を切り出せず方針が定まらないカップルもみられます。女性には“妊活しない”という権利もありますし、自然に任せることがよい時もありますが、あとで困らないよう早い段階から互いの意思を確認しておくことも重要です。そして、もし前向きに足並みがそろったら早い行動が効果的なのは間違いありません。自分の状態を確認し、人生プランをたてるために産婦人科にご相談ください。