世界エイズデー
仲宗根正・那覇市保健所(2015年12月1日掲載)
正しい理解で偏見排除
ハイサイ。1990年代半ばまで、エイズは不治の病でした。死亡率はほぼ100%と言われていました。しかし、現在では治療法がほぼ確立されています。不治の病のエイズではなく、HIV感染症(エイズの原因であるHIVというウイルスによる感染症)という治療できる慢性の病気となっています。
治療がうまくいっているHIV感染者は普通に社会生活を過ごせます。この方から感染が広がる心配はまずありません。しかし、偏見や差別により仕事を辞めざるを得ない状況に追い詰められたり、感染を理由に就職を断られたりといった事例が、今でも少なからずあります。
HIV感染者は将来への不安から、自分の健康への意識がなえてしまいがちです。うまくいっていた治療がうまくいかなくなり、うまく抑えられていたHIVが身体の中で増えてしまいます。こうなってしまうと、この方から、感染が広がる心配が出てきてしまいます。すなわち、偏見や差別は、HIV感染が広がってしまう心配を増やしてしまうのです。
さて、12月1日は世界エイズデーです。今年のテーマは「AIDS IS NOT OVER~だから、ここから~」です。趣旨の一部をご紹介します。「HIV/エイズは、まだ終わっていない。だからこそ、一人ひとりが、それぞれの立場から『予防、治療、支援、理解』という具体的行動をとることが求められており、効果的なHIV感染予防対策を実施していく上では、四つの行動すべての実践が重要である」
四つの行動のうち、最も足りないのは「理解」だと思います。正しい「理解」により偏見や差別を排除し、HIV感染者が安心して生活できる社会環境を整備する。それはまさに「支援」です。「支援」により環境整備された社会で、安心して「治療」に専念できるHIV感染者からは、感染が広まることはありません。すなわち、最も大切な、HIV感染の「予防」につながるのです。
世界エイズデーを機会に、まず、正しい「理解」について考えていただけると幸いです。