拒食症

仲本譲・博愛病院(2015年11月24日掲載)

周囲の気付きも大事

 皆さん、拒食症という病気を聞いたことはありますか。拒食症は摂食障害のタイプの一つで、摂食障害には拒食症と過食症があります。拒食症は「痩せすぎているけど食べられない」という症状があり、過食症は「食べ過ぎを抑えられない」という症状があります。どちらも太るのが怖いといった「肥満恐怖」が存在します。今回は、拒食症についてお話しします。


 拒食症では、異常な痩せにもかかわらず、もっと痩せたいと思う(痩せ願望)、食事を拒む(拒食)、激しく運動する(過活動)、食べ吐きをする、下剤を乱用するといった食行動の異常が見られます。


 痩せていることが称賛される文化圏では、正常と病気との線引きが不明瞭となりがちです。一つの目安として、「BMI=体重(キロ)÷身長(メートル)×身長(メートル)」の計算式を利用します。一般的にBMIが18.5未満で低体重と判断されます。BMI15を切るとさまざまな身体症状(除脈、低血圧、無月経、骨粗しょう症等)が出現し、BMI13未満では突然死のリスクが高まります(ただし、15歳未満では、BMIではなく、成長曲線を利用します)。


 このような低いBMIかつ前述した食行動の異常が見られた場合には、拒食症が疑われます。自分では病気と気付きにくいといった特徴もあり、周囲が気付いてあげることも大事です。


 治療としては、さまざまな方法が試みられます。偏った考えや行動の変化を促す認知行動療法がよく用いられます。一方、極度の低体重の場合には、思考力・判断力が落ちていることが多く、カウンセリングや精神療法も効果を発揮しにくいです。その場合には、まず栄養状態の改善が優先されます。


 健康面では肥満、生活習慣病などに目を奪われがちですが、実は痩せすぎていることが命に関わることも注意しなければなりません。近年では、ヨーロッパを中心に、モデルに体重制限(下限)を設けるなどの対策を講じている国々が増えています。痩せすぎにも関わらず、食事が取れなくてお困りの方は、専門医療機関を受診することをお勧めします。

このページのトップへ