「高気圧医学」って何?

合志清隆・琉球大学病院高気圧治療部(2015年11月10日掲載)

潜水病などの治療に有効

 なじみのない「高気圧医学」は、いわゆる潜水病・潜函(せんかん)病の治療や予防で重要なものです。特にダイビングでの来県者は年間50万人以上にのぼり、さらに大規模な橋梁(きょうりょう)(橋の基礎)工事も行われ、今や「高気圧医学」は不可欠になっています。不幸にして潜水病・潜函病になれば「高気圧酸素」の特殊治療がされています。


 しかし、この災害は「命」にかかわるもので、その予防が重要です。そこで作業所や各地で、どうしたら災害を予防できるか、悪化を防ぐ方法などについて共に「命」の議論をしています。この議論は琉球大学病院のホームページで「動画」としても見ることができます。


 耳慣れない「高気圧酸素治療」は1人用と大型タンクの2種類があり、そこに入っていただいて中の気圧を大気圧の2~3倍にしてマスクで酸素を吸う、極めて単純なものです。治療の前には「飛行機に乗った時のように、耳に少し圧がかかりますが、すぐに慣れます」と説明する程度で、高齢者の患者さんにも優しい治療として、この10年間に欧米を中心として急速に広まっています。


 急速な普及の理由の一つは、効果が高いことです。潜水病・潜函病は代表的なものですが、ガス中毒、重症感染症、腸閉塞(へいそく)、眼動脈閉塞、膠原(こうげん)病や熱傷など、さまざまな病気に応用されています。中でも多い病気は、糖尿病や高齢者の方に見られる足の潰瘍、放射線治療の副作用、あるいは突発性難聴です。


 例えば、糖尿病や高齢者の方で治りにくい足の潰瘍は、この高気圧酸素による1~2カ月の治療で、足切断が3分の1までになることが分かってきました。さらに、放射線治療の副作用は手術も難しいですが、この高気圧酸素で8割ほど治ることが分かってきました。突発性難聴も同様です。それ以外の多くの病気に高気圧酸素は用いられていますが、その理由は臨床試験で治療効果がはっきりしてきたからです。


 優しい簡単な治療法で、しかも足や内臓の手術を避けられることもあり、何かの病気で治療される時には、ぜひ「高気圧酸素」を思い浮かべてもらいたいと思います。

このページのトップへ