離島医療

渡邊丞・ロクト整形外科(2015年10月20日掲載)

患者、地域との関係が密

 当クリニックでは離島医療支援を行っており、所属する医師が定期的に石垣島、宮古島、久米島に往診しています。中でも久米島は整形外科医が不在のため、私たち整形外科医が1週間ごとに交代して診療にあたっています。


 久米島の人口は8400人足らずで、他の過疎地と同様に少子高齢化が進んでいる島です。私たちが診療に携わらせていただいている公立久米島病院は、1日外来患者数は約150人で、入院ベッドを40床有する、島を代表する医療機関です。


 驚くことに職員のほとんどが島外から赴任しており、看護部にいたっては県外からの若手がほとんどを占めています。看護師は1~4年間ほど島の医療に従事しているそうですが、島での生活が長くなるにつれ、地域との関係が深まり、ハーリーやエイサー、三線大会、久米島マラソンなど地域のさまざまな行事に参加しているそうです。


 待合室では看護師と患者さんがまるで親戚同士のように家族の話で盛り上がっている光景をよく見かけます。また、緊急時や救急患者が運ばれた時の家族への対応や、退院時の自宅環境の調整など患者さんのバックグラウンドに関わる業務を的確にこなしています。


 高齢化の進んだ島では院内でお看取りをするケースもしばしばあるようです。ある入院患者さんのご臨終の直前に、看護師が顔ひげをそりきれいにしてお看取りしたことに対し、2年たった今でも患者家族が感謝の意を表していました。大切な家族の看取りのときに真摯(しんし)に向き合って看護にあたった姿が印象的だったのでしょう。


 医療界では患者さんの家庭環境や家屋環境を把握することが大事と言われますが、これほどまでに自然と患者さんと親しみ関係性を築くことができるのは、離島医療でしか経験できない醍醐味(だいごみ)のようなものかもしれません。島外から赴任し、文化や方言を知らなかった新人看護師が、だんだんと地域に溶け込み、島民の信頼を得ていく姿にはいつも感心させられます。

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