脳卒中、心臓発作
金城紀与史・県立中部病院(2015年10月6日掲載)
病気にならない知識を
私は病院に勤めていますが、患者さん自身が自分の身を守る知識を持っていればよかったのに、と思う事例が少なくありません。例えば3日前から右半身が動かなくなり様子を見ていたがよくならないので受診した方がいました。診断は脳卒中です。
脳卒中は病院に4時間以内に受診すれば麻痺(まひ)を改善する薬が使える場合があります。しかしこの薬は3日経過してしまうと効果がなく、後遺症が残ってしまう場合も少なくありません。脳卒中の症状(半身が動かない、しびれる等)を知っていればもっと早く受診できたのではないかと考えてしまいます。
新たな医薬品、医療機器の登場が連日テレビや新聞で報道されますが、こうした強力な最新の医学をもってしても予防の力に及びません。
病院の医療の多くは、野球で例えれば九回裏2死から大差の試合をひっくり返そうとするのに似ています。病気が進行してしまってから手を尽くしても限界があります。糖尿病や心臓発作、脳卒中など多くの病気はひとたび発症してしまうと根治は困難です。
病気にならない知識を持って実践する。たばこを吸わない、飲酒はほどほどにする、適度の運動をする、バランスの取れた食事をする、検診や予防接種を受ける、こうした地味な行動の方がはるかに効果は大きいのです。ちょっとした症状すべてに関して診療所や病院にかかる必要はありません。しかし、ここぞという時にはすぐに受診することが重要です。
すべてを網羅することはできませんが、例を挙げると、胸の真ん中が締め付けられるような痛み(心臓発作)、突然バットで殴られたような人生最悪の頭痛(くも膜下出血)、体重がどんどん減る、といった症状は放置せず、すぐに受診することが自分の身を守ることになるのです。
皆さんも日頃からかかりつけの先生と、自分の身を守る知識について相談してはいかがでしょうか。