産婦人科の内視鏡手術
神山茂 空の森クリニック(2015年7月21日掲載)
身体に負担少なく
内視鏡手術は、身体に負担の少ない手術方法で、さまざまな疾患でその術式が確立されてきています。その一方、最近の全国ニュースで、ある医療施設の内視鏡手術後の死亡率が高いと報道され、注目を集めました。
では、産婦人科における現状はどのようなものでしょうか? 産婦人科においては、腹腔(ふくくう)鏡、子宮鏡、卵管鏡の三つの内視鏡による手術がありますが、ここでは、腹腔鏡手術についてお話します。
おなかの手術の方法には、従来の開腹手術(大きめに切る手術)と腹腔鏡手術(小さくしか切らない、内視鏡での手術)があります。どちらの方法にも一長一短があり、開腹手術でしかできない場合もありますが、概ね、腹腔鏡手術が好まれる傾向にあります。開腹手術と比較して、腹腔鏡手術の長所には、痛みが軽い、入院日数が短い、回復が早い、傷が目立たない、術後のおなかの中の癒着が少ない(癒着は不妊の原因となり得るので、特に若年女性では重要です)等々、多くのことがあります。
短所には、腹腔鏡手術特有の合併症がある、特殊な器具が必要、手技が比較的困難など、気をつけるべき点もあります。どちらの方法でも、ほとんどの方が合併症なく、安全に手術を終えているのが現状です。手術方法は、患者と医師の十分な相談の上で、最終的には手術を受ける本人の選択で決定されていると思われます。
日本では、良性疾患(子宮筋腫、卵巣腫瘍、子宮外妊娠など)においては、20年以上前から腹腔鏡手術が増え始め、現在では、多くの良性疾患が腹腔鏡手術で治療されています。腹腔鏡手術では上記の短所があるものの、長所がそれを大きく上回っており、この方法が選択されることが多いのだと思われます。
開腹手術に比して腹腔鏡手術には、時間がかかる、手技が複雑、手技的に難しいという点もありますが、ニーズは圧倒的に腹腔鏡手術にあるようです。産婦人科では、全ての手術を腹腔鏡で行えるわけではありませんが、ますます、この手術方法が一般的になっていくと思われます。