痙縮の新しい治療
嘉手川淳・沖縄赤十字病院(2015年5月12日掲載)
脊髄の周囲へ直接注射
脳や脊髄の病気が原因で、手や足の筋肉の緊張が高まることを痙縮(けいしゅく)と言います。痙縮により手足が動かしにくくなり、また勝手に動いてしまうこともあります。
例えば、脳卒中の後遺症では、痙縮のために、握りこぶしが開きにくいとか、肘が曲がったまま伸びにくい、つま先が足の裏側、内側に曲がるなどといったことが起こります。痙縮が長く続くと、関節の動きが妨げられるような拘縮となり、リハビリテーションの妨げになることもあります。
また痙縮が強いと、不眠症や痛みの原因にもなり、日常生活動作のみならず、生活の質が低下することもあります。
痙縮の原因には、脳卒中や頭部外傷、脊髄損傷、脳性まひなどがあります。
痙縮の新しい治療としては、バクロフェン髄注療法(ITB)があります。ITBでは、バクロフェンというお薬を、脊髄の周囲へ直接注射することにより、主に足の筋肉の緊張をやわらげます。また注射する場所を変えることによって、手にも効果があります。
バクロフェンの効果を持続させるために、体内に植え込んだ薬剤注入ポンプにより、お薬の量を増やしたり減らしたりすることができ、痙縮をやわらげるための細かい調整が可能です。もちろんポンプをいきなり体内へ植え込むのではなく、バクロフェンの効果が本当にあるのかどうかを、まずは試してみることが必要です。
ITBにより、日常生活動作やリハビリテーションが行いやすくなります。また関節の拘縮を予防し、痛みをやわらげることで、生活の質を向上させ、さらに介護の負担を軽くします。
ITBを行うためには資格が必要ですが、資格を持っている医師や施設の情報はインターネット等で公開されていますので、お調べになってお訪ねになり、医師に相談されてはいかがでしょうか。