喫煙と肺がんの関係

伊地隆晴・国立病院機構沖縄病院(2015年4月28日掲載)

禁煙年数でリスク低下

 「たばこを吸うと肺がんになりやすい」という話は、皆さんどこかで一度は聞いた事があるでしょう。たばこは吸わないけれど、近くにいる喫煙者のたばこの煙を日常的に吸っている人も多いでしょうから、全くの他人事ってわけでもないですよね? でも、喫煙によってどのくらい肺がんが発生しやすくなるのでしょうか?


 たばこの煙には数多くの発がん物質が含まれ、動物実験から、肺の気道に対する毒性や、肺がんリスク上昇も確認されています。欧米では、たばこを吸う男性の肺がんリスク(肺がんのかかりやすさ)は、吸わない男性に比べ、少なくとも10倍以上と非常に高くなることが報告されています。


 日本の場合、国立がんセンターの予防研究グループが日本の疫学研究をまとめた報告では、たばこを吸っている人のたばこを吸ったことがない人に対する肺がんの相対リスクは、男性で4.4倍、女性で2.8倍でした。国内外のいろんな調査研究の結果から喫煙による肺がんリスク上昇の科学的根拠は確実とされているのです。また喫煙は肺がん以外にも肺の慢性疾患(慢性気管支炎・肺気腫)や心臓病などの循環器疾患を悪化させる原因とも言われ、このことからも禁煙が推奨されています。


 そしてウチナーの状況ですが、がんの死亡原因として、男性では肺がんは断トツの1位です(女性は大腸がんと肺がんががん死亡原因の1位、2位を争う状況)。沖縄県はがんによる死亡者数を減らす「がん対策推進基本計画」を策定し、その中で禁煙対策を進めています。


 喫煙者の中には「もうたばこを吸い始めて長いから今更禁煙したところで…」と思われる方もいるかもしれませんが、喫煙者でも禁煙してからの年数が増すほど肺がんにかかるリスクが低くなるという報告もあります。


 「思い立ったが吉日」。禁煙すると決めたけれど、自信がない方は禁煙外来でお医者さんと相談することもできますよ(条件が合えば健康保険も使えます)。自分や家族の健康のため、喫煙習慣に限らず、自分の生活習慣を見直すいい機会としたいですね。

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