すい臓がん治療
伊佐勉・浦添総合病院(2015年4月7日掲載)
技術が進歩、生存率向上
日本人の死因第1位は悪性新生物、いわゆるがんであることはご存じかと思います。最近のデータでは、生涯でがんにかかる確率は男性で60%(2人に1人以上)、女性で45%(2人に1人弱)であり、がんで死亡する確率は男性が26%(4人に1人)、女性が16%(6人に1人)とされています。自分は健康には自信があると思われている方も、がんは決して人ごとではないのです。
すい臓がんは、がんの部位別死亡原因で第4位(男性で第5位、女性で4位)であり、今後もさらに増加すると予測されています。女性だけみても、乳がん(第5位)よりもすい臓がんで死亡する人の方が多いのです。すい臓は「沈黙の臓器」ともいわれ、すい臓がんと診断された時には既に転移があり切除術は受けられないことが多いこと、切除できても再発率が高いことなどから、最も治りにくいがんといわれています。
しかし、最近では抗がん剤や手術手技の進歩で切除術ができる症例が少しずつ増え、切除後の治療成績も徐々に向上しています。これまでは、すい臓周辺の主要な動脈までがんが広がっている場合には、がんを切除できませんでしたが、最近では抗がん剤と放射線療法で併用治療した後に切除術を行う方法も開発されています。また、血管を合併切除して再吻合(ふんごう)する手術や、すい臓を全摘せざるを得ないような高難易度手術も、専門施設では安全性が高まっています。
10年ほど前までは、すい臓がん切除例の5年生存率(手術から5年経過後に生存している患者の比率)は10~15%であったのが、最近では25~30%との報告もみられるようになり、長期生存例が増えています。
一方、すい臓がんの診断や治療は高度な技術が必要で、治療方針や成績は施設間の差が大きいといわれています。切除術の成績も手術症例が多く専門医のいる専門施設では合併症が少ないといわれています。すい臓がんが疑われたら、専門施設への紹介またはセカンドオピニオン外来受診をお勧めします。