3大痔(じ)疾患

阿嘉裕之・ハートライフ病院(2015年3月31日掲載)

相談し、納得の治療法を

 「痔(じ)」という字は古くは腫れ物の意味です。「屎痔(くそじ)」が肛門の腫れ物ですが、現代では痔は肛門疾患全般を指す言葉です。3大痔疾患は、痔核(じかく)、痔瘻(じろう)、裂肛(れっこう)です。


 痔核には脱出や出血が主症状の内痔核、急な腫れや痛みが主症状の外痔核があります。1804年、江戸時代の外科医華岡青洲が「世界初の全身麻酔薬」を投与し、痔核の根部(血管の流入する頭側)を結んで固定し、腐食剤を塗布しました。現代では腰椎麻酔で根部を固定し、痔核を切除します。再発率と出血率は0.2%で、学会でも専門家が0%を目指す創意工夫を発表しています。


 近年大きく様変わりした内痔核治療に「ジオン(R)注射療法」があります。内痔核に注射し、痛みは手術より軽く、1泊入院か日帰りで治療できることが利点です。累積再発率は10年間で約10%と分かってきました。


 痔瘻は分泌腺の粘液バリアーが下痢などで失われて肛門部に穴ができ、うみがトンネル状にたまる状態です。深酒による下痢が大敵です。シェイクスピアの「終わり良ければ全て良し」にも、痔瘻に悩む国王が登場します。私見ですが、下痢がなく痔瘻となった方に温水便座での「洗腸」(直腸に水をためて出す)が日課の方がいます。爽快感は共感しますが、粘液バリアーが失われて痔瘻発生が危惧されるので肛門洗浄までにしましょう。治療は手術で切開開放、くりぬき、シートン法があり、程度や入院期間により術式を決めます。通院で長期間かけて切除する方法がシートン法です。


 手術前には肛門近くにがんがないか確認します。上流から流れてきたがん細胞が傷に移植される恐れがあるからです。


 裂肛(=切れ痔)は痛みで排便を我慢し、より硬い便で切れる悪循環になりがちです。便通の改善も重要です。


 肛門科は2008年以降、新たに開設する際は肛門外科、大腸肛門外科と標榜(ひょうぼう)することになりました。手術しか方法がないのか、よく相談して納得できる治療法を決めてください。遠慮なさらず「終わり良ければ全て良し」を目指しましょう。

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