子どもの病気の発症

堀本直幹・アドベンチスト・メディカルセンター(2015年3月10日掲載)

母親の栄養環境が影響

 人の病気には、遺伝子そのものの異常ではなく、遺伝子の発現、つまり遺伝子がいつ、どのように働くかでさまざまな病態が現れたり、そうでなかったりすることが分かっています。そして近年、この遺伝子の発現については、胎児期から乳幼児期が非常に影響を受けやすく、重要な時期であることが知られるようになりました。


 しかも、受けた影響は赤ちゃんにすぐ現れるとは限らず、何年も後になって表出するのです。1例を挙げると、妊娠中にお母さんが太りすぎると、おなかの子が大人になって生活習慣病になりやすいというものです。


 子に影響を与える要因には薬物、たばこなどの化学物質、感染症など、お母さん方がよく気を付けているものもありますが、これらと同様に、あるいはそれ以上に栄養環境が重要です。


 一方、子に現れる病態は肥満、糖尿病、高血圧、心疾患、アレルギー、精神疾患など多岐にわたっており、子どもの将来の健康状態は、胎児期から生後数年の間の母親に決められるといっても決して過言ではありません。さらにその影響は、赤ちゃんの体内の生殖細胞にまで及ぶと考えられ、お母さんからみると子どものみならず孫の健康をも左右しているという壮大な話になります。


 そもそもこのような遺伝子発現の仕組みは、動物の進化の過程で飢餓などの環境変化に対応するための機能として備わったものです。遺伝子発現が影響を受けやすい時期と、その後の栄養環境がマッチしていることが大切であり、飢餓も食べ過ぎもよくありません。妊婦さんは妊娠した瞬間から子育て、孫育てが始まっていると考え、食事と運動に気を付けて良い環境をつくってあげてください。


 では、父親の影響はどうなのでしょうか。父側についてはまだデータは十分ではありませんが、動物実験では父親の栄養過多で子どもの体重が増加するとの報告があります。子どもがほしいと思っている皆さん、この際、夫婦そろって食事内容を見直しましょう。未来の子どもたちのために。

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