高齢者の食事
吉田貞夫・沖縄メディカル病院(2015年2月24日掲載)
粗食? or 栄養たっぷり?
ある程度の年齢になったら、野菜中心の粗食の方が健康にいいと考えている方もいると思います。高齢者が生き生きとした生活を営むためには、粗食が適切なのでしょうか? これは必ずしも正しいとは限りません。
野菜中心の粗食は食物線維を豊富に含み、糖尿病やコレステロールの上昇といった生活習慣病の防止には有用かもしれません。しかし、内臓の機能や筋肉の維持に必要なタンパク質の摂取量が少なくなってしまうという難点があるのです。
高齢者では筋肉が減少する「サルコペニア」という症状の進行が大きな問題となっています。手足の力が弱くなり、やがては食べ物を飲み込むための筋肉の機能も弱くなって、肺炎などを発症しやすくなる、ともいわれています。
このようにならないためにも、しっかりとタンパク質を摂取することが大切です。成人では1回の食事で5グラムのタンパク質(豚肉30グラム程度)を摂取すれば、筋肉のもととなるタンパク質が合成されますが、高齢者では、その3倍の15グラムものタンパク質を摂取しないと合成されないと考える学者もいます。いつまでも元気でいるためには、むしろ高齢者の方が、質のいいタンパク質をたっぷり摂取しないといけない、ということになります。
タンパク質を摂取するときに注意が必要なのは、腎臓の機能です。高齢者は、腎臓の機能が低下している場合が少なくありません。過剰のタンパク質摂取が、腎臓の負担になってしまうこともあります。心配な場合は、簡単な血液検査で評価できますので、かかりつけの医師に相談してください。
また、筋肉を増やすのに重要なアミノ酸、BCAA(分枝鎖アミノ酸)や、ビタミンDを摂取することで、腎臓に負担をかけずに同様の効果を期待することもできます。最近ではBCAAやビタミンDを強化した補助食品などもいくつか発売されています。管理栄養士に相談してください。しっかりと栄養をとって、生き生きとした生活を送りましょう!