機能性ディスペプシア

小波津寛・琉生病院(2015年2月10日掲載)

あなたの胃は大丈夫?

 2013年2月にピロリ菌の慢性胃炎に対する除菌療法が保険適応になり、健診施設や一般病院でも除菌療法を希望される患者さんが増えています。慢性胃炎にはピロリ菌感染胃炎に代表される「組織学的胃炎」、胃エックス線検査や内視鏡検査でびらんや萎縮などの所見が認められる「形態学的胃炎」があります。


 そして胃痛や胃部不快感などの症状があるものの、胃エックス線検査や内視鏡検査をしても異常所見がなく、「神経性胃炎」などといわれてきた患者さんも多かったと思います。


 このように上部消化管に消化性潰瘍やがんなどの器質的疾患が認められないにもかかわらず、胃もたれや心窩(しんか)部痛などのつらい症状が現れる機能性疾患について13年6月、「機能性ディスペプシア」という診断名が誕生しました。ディスペプシアは「消化不良」を意味します。新しい消化管運動機能改善薬も発売されました。


 有病率は10~20%と推定され、主な症状としては食べ物が胃内に停滞しているような食後のもたれ感、食事開始後すぐに食べ物で胃がいっぱいになる早期膨満感、食事に関係なくみぞおちのあたりの心窩部痛、心窩部に熱感を伴う心窩部灼熱(しゃくねつ)感があります。


 このような上腹部症状が現れるメカニズムは不明な点が多いのですが、胃運動機能異常、内臓知覚過敏、胃酸、生活習慣、ストレスなどのさまざまな要因が複雑に影響し合っていると考えられています。治療はストレスを回避・発散する生活指導、1回の食事量を少量とし低脂肪食を心掛ける食事指導、それぞれの症状に応じて消化管運動改善薬、酸分泌抑制薬、漢方薬、抗不安薬等の薬物治療が行われます。


 ピロリ菌感染が原因と思われるときはピロリ菌除菌療法で症状が治まる場合もあります。機能性ディスペプシアの治療目標は患者さんの自覚症状を改善・消失させ、生活の質を向上させることです。このような胃部症状がある方は最寄りの消化器の専門医を受診されることをお勧めします。

このページのトップへ