高齢者の不眠
金城博・博愛病院(2015年1月20日掲載)
「思い込み」の場合も
「寝つきが悪い」「途中で何度も目が覚めてしまう」と不眠を訴えるお年寄りは少なくありません。「眠れてる? もしかしたら『うつ』かも」というテレビのキャンペーンの影響もあり、不安になっている方もいます。確かに不眠は精神科の病気では広く多く見られる症状でもあり、心配されるのも無理からぬことです。
精神科専門医としては、精神疾患に伴うさまざまな不眠を診ていますが、単に不眠だけを主に訴えてこられるお年寄りの方について紹介します。精神科はご本人だけでなく、ご家族からもお話を聞きますが、眠れていないと強く訴えているのはご本人だけで、ご家族、特に傍らで寝ている配偶者の方からは「寝息を立てて、ぐっすり寝ている」と真逆のお話を聞くことが比較的多いのです。
ミートゥンダオーエー(夫婦げんか)の原因になっていることもあります。ご本人の訴えをじっくり聞いてみると、実際の睡眠不足というより、「眠れている気がしない。寝た気がしない」と不安になっていることが分かります。睡眠薬も処方しますが、まずは不安になっていることを受容し、その不安は「眠れない」という「思い込み」によるものだと気付いてもらうようにします。少し時間がかかることもありますが、「思い込み」であることに気付くと次第に不安は和らぎ、不眠に対するこだわりが少なくなっていきます。
何らかの持病があり、かかりつけの先生に診てもらっていながらも「不眠は専門外では…」と、一人で悩んではいませんか。ちなみに、去る15日にはかかりつけ医などを対象にした「心の健康対応力向上研修」が県医師会館で開かれ、多くの先生方が熱心に勉強されていますので、まずは気軽に相談されることをお勧めします。
快眠へのアドバイスを三つ。毎日決まった時間に起床しましょう。規則正しい食生活と軽い運動を心掛けましょう。日中を快適に過ごせればいいので、睡眠時間にはこだわらないようにしましょう。