沖縄の長寿復活
鈴木信・沖縄セントラル病院(2015年1月13日掲載)
押し付けでは成功せず
長野県が「日本一長寿」の地位を獲得したのは県の政策が功を奏したのではなく、「沖縄に追い付け、追い越せ」の県民の気構えが盛り上がり、県民一人一人がこぞって高血圧・脳卒中の予防活動に一丸となったたまものと言えます。須坂市の民間から始まったボランティア活動が第一に挙げられます。それが地域の健康補導員となりました。佐久中央病院の日本で初めての巡回バスによる健診、そして地元企業の野沢菜やみその減塩運動がありました。
沖縄は今や短命県になってしまいました。その原因は肥満、メタボリック症候群、それらに合併する糖尿病、心疾患、脳卒中などによる若年中年層の死亡率が急上昇したからです。「逆仏」は家庭にとって惨めな生活を強いられます。オジーオバーが元気で、オトーオカーが早く死亡する、つまり早世です。
NHKや民放がこうした「逆仏」の実情をテレビ番組で放映したいと計画し、そのモデルを選定することを私に依頼されたことがあります。そういった家族に遭遇することも珍しくありません。しかし、テレビ出演となると尻込みされてしまいます。
そこで去年4月、どうしたら沖縄に健康長寿を取り戻せるかを詳細に書いた本を、自費を投じて「新老人の会」から出版しました。出版元は営利目的の出版社からではなく、あえてボランティア団体を選びました。県民の盛り上がりを促すための啓もう教育と考えたからです。
こうした運動は行政団体や医療団体が上から押し付けるのではうまくいくはずがありません。県民一人一人が自らその気にならなければ成功しません。「新老人の会」は新老人運動を、身をもって実践し、率先して若者を先導するような社会に貢献できる人が集まって人生の意義ある生き方を勉強する会です。
それには長野県のように、従来のようなバイキング食生活をやめ、たばこの自動販売機を差し止めるなどの行政や企業の血のにじむような努力も必要です。こうした公私一体となった努力が実を結んで初めて沖縄の夢が実現します。このままでは長寿復活どころか沖縄が最下位に低迷することは必至です。