疥癬
具志堅初男・ぐしけん皮フ科(2014年12月2日掲載)
人から人へ接触で伝染
疥癬(かいせん)という皮膚病をご存じですか。疥癬はヒゼンダニという肉眼では確認できない0.4ミリほどの大きさのダニが、皮膚の表面の角質層に寄生して起こる伝染性の皮膚病です。疥癬にかかると体中がかゆくなり、特に就寝時には睡眠を妨げるほどのかゆみです。
わが国では終戦後に大はやりした後、ほとんど発症が見られませんでしたが、1975年ごろから再流行し、現在まで絶えることなく発症が続いています。発症が絶えない理由には疥癬が人から人への接触により伝染しやすいため、家族間や老人ホーム、老人病院などの高齢者施設で知らないうちに集団発症することや診断の難しさがあります。
疥癬の診断に大切なことは、まず疥癬ではないかと疑うことです。兆候の一つは皮膚症状です。特徴的な出現部位は両手の指の間、手のひらや手の関節部、わき、おへそ、お尻の割れ目の周囲などに、湿疹によく似た小さなブツブツが見られます。手に数ミリの糸状や線状の白いカサカサ(疥癬トンネルといい疥癬虫が角質層に潜っている部位です)が認められたり、男性では包皮や陰嚢(いんのう)に暗褐色の5~10ミリの結節が認められたりすると疑いは濃厚です。
幼児では手のひらや足の裏にうみを持った水ぶくれを見ることがあります。疥癬を疑う兆候の二つ目は、家族や同僚など身近なところに同じような症状の人がいることです。疥癬は伝染しやすいからです。三つ目の兆候は疥癬の発症初期には湿疹との区別がしにくいためしばしば誤診されることがありますが、治療しても止まらない強いかゆみが続く場合です。
診断は病変部からの顕微鏡検査でヒゼンダニの虫体あるいは虫卵が検出すれば確定します。治療については長い間、保険適応薬剤に決定的なものがなく治療に手間や時間が掛かることが多かったのですが、1994年から有効性の高い内服薬が保険適応となりました。さらに本年9月からは有効性が高く使用法も簡便な外用薬剤が保険適応となりました。今後は短期間での治癒が期特されます。