目の老化と車の運転

中山貞之・中山眼科(2014年9月2日掲載)

機能低下し危険増す

 現代は車社会です。車の運転ができなければ仕事や日常生活に不自由で行動も制限されます。鉄軌道のない沖縄では特に大切です。老若男女、誰でも車を運転します。高齢者も運転します。運転で大切な目の性質があります。「暗順応」です。明るい戸外から暗い映画館に入ると、最初はスクリーン以外は何も見えません。空いてる座席がどこにあるか分かりません。しかし、しばらくたつと、だんだん周囲が見えてきます。暗さに慣れるのです。これを「暗順応」といいます。暗い所に長くいるにつれて、少ない光の量でも光が見えてきます。つまり目の感度が上昇しているのです。


 網膜に光が入ると、それを吸収して生体反応を生ずるセンサーが2種類あります。一つは錐体(すいたい)で、もう一つは桿体(かんたい)と呼ばれるセンサーです。錐体は昼間のセンサーで、外が明るい時に働きます。桿体は夜間のセンサーで、外が暗い時に働きます。大きな違いは、錐体は色を見ることができること、桿体は色を見ることはできないが、光に対する感度はとても良いということです。


 暗い所で高齢者の目の感度が上がらないのは、瞳孔の大きさと、水晶体の透過率の影響です。人の瞳の大きさは真っ暗な所で直径8ミリまで広がります。明るい所では2ミリくらいになります。この間を外の明かるさに応じて変化しています。


 水晶体の光の透過率は年齢とともに落ちてきます。落ちる度合いは短い波長の領域で著しいです。480ナノメートルの青い光に対しては21歳の水晶体は70%の光を通すのに、63歳の水晶体は40%だけです。美しい青い花を見ても、かなり黒ずんで見えていることになります。


 車の運転には「遠くが見える」「広い範囲が見える」「空間認知」「危険回避」「瞬時の判断」等の視機能のあらゆる能力が必要です。老化に伴う目の機能や視力の低下、視野の狭少(きょうしょう)化による夜間運転の危険性、空間認知による速度や車間距離の不安定さ、判断力の低下による信号機の誤認等が、高齢者の運転によく見られるので注意が必要です。

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