心房細動予防に新薬
間仁田守・那覇市立病院(2014年8月19日掲載)
期待の大型“新人”登場か
読売巨人軍の「背番号3」。多くの人がすぐに長嶋茂雄さんを思い浮かべるでしょう。その長嶋さんが10年前に68歳の若さで脳梗塞に倒れました。新聞の見出しには心原性脳梗塞・心房細動と大きく書かれていました。長嶋さんは高血圧や糖尿病の持病もなく、健康的な状態でしたが、心房細動という不整脈が原因で、心臓の中にできた血の固まりが、脳の血管に流れて詰まったために大きな脳梗塞を発症してしまいました。このタイプの脳梗塞は、一般的な脳梗塞に比べ、寝たきりになってしまう率が高いといわれています。
心房細動は心疾患や高血圧症などに伴って起こる場合もあれば、特に原因がないこともしばしばです。年齢が上がるにしたがって発症率が増加し、65歳以上になると、人口の6%が心房細動を患っているとのデータもあります。心房細動の患者さんの脳梗塞発症率は6~7倍高いことも知られています。
心房細動による脳梗塞の予防に、50年以上“オンリーワン”として君臨してきた薬剤がワーファリンです。極めて高い脳梗塞予防効果がありますが、食事制限(納豆・青汁・クロレラ)や血液検査での用量調整などの煩わしさがあります。
3年前からワーファリンに代わる期待の新薬(新規経口抗凝固薬)が登場し、現在3種類の薬剤が使用可能となっています。ワーファリン同様、優れた脳梗塞予防効果が示されています。特筆すべきは、脳出血の危険性がワーファリンに比べ約半分に減ることです。利点であり欠点として用量調整が不要(できない)ということで、高齢者や低体重の人では注意が必要です。また、薬価が高いことは大きな欠点です。患者・医師のニーズに合わせ慎重な選択が必要です。
ワーファリンを長嶋さんに例えるならば、新規経口抗凝固薬はダルビッシュや田中マー君、そして日ハムの大谷などでしょう。この大型新人たちが長嶋さんを超えるスーパースターとなることを期待するとともに、心原性脳梗塞になる人が一人でも減ることを期待しています。