脊椎椎体骨折
當眞嗣一・とうま整形外科クリニック(2014年8月12日掲載)
転ばぬ先の知恵
「腰が曲がってきた」「若いころより4センチ以上身長が縮んだ」。60歳以上の女性の方々からよく聞くお話です。実はこれは「脊椎椎体(ついたい)骨折」という背骨の骨折が原因である場合が多いのです。骨量が減少して骨がもろくなる骨粗しょう症になると、尻もち、お辞儀、くしゃみ、体をひねるなど、日常生活のちょっとしたことで椎体がつぶれる(骨折する)ことがあります。
骨折しても痛みをほとんど感じない時もありますが、高齢者の方が何かした後に急に腰が痛くなる場合は、椎体骨折を起こしている可能性があり注意が必要です。椎体骨折を起こした方は、思い当たる原因がないのに腰や背中の痛みが続いて、日常生活に支障をきたします。発見や治療が遅れると腰痛が長く続いて動けなくなり、その結果、体力低下、寝たきりの原因になります。また、骨折が治癒せず状態が悪化して、下肢まひ(遅発性まひ)を発症したりする場合もあります。
椎体骨折の診断にはX線検査を行い、骨折の有無、その程度を確認します。骨折の変形が少ない初期の段階は、X線でははっきり診断できない時があり、その際はMRIを撮影します。
椎体骨折の治療としては、通常はコルセット固定などの保存的治療を行います。受傷後に数カ月してから遅発性まひが出てくるようであれば、手術の検討が必要です。骨折が治ると腰痛はだいぶ軽くなりますが、長時間座ったり、歩いたりすると、腰痛がみられます。これは腰部の筋力低下や筋肉が疲れやすくなっていることが原因です。筋力を鍛え、再度転ばないようにバランスをとるリハビリが大切になります。
骨粗しょう症が疑われる場合は、骨密度測定(DEXA法=デキサ法)や骨代謝マーカーによる検査を行い、適切な薬剤治療、食生活、運動などの注意点を相談していただくことをお勧めします。しかし何よりも骨折予防のためには、転ばないように注意することが大切です。