過敏性腸症候群とパニック障害
原信一郎・はらクリニック(2014年7月8日掲載)
心身両面から診断必要
突然おなかに不快感や痛みが出現し、慌ててトイレに駆け込み、水のような下痢便が出て、症状が軽くなるという病気があります。また、何日も何週間も排便がなく、やっと出ても小さく硬い便だったり、下痢と便秘を繰り返したり、おなかが張っておならが出たり、動悸(どうき)や不安を伴ったりすることもあります。
この病気は、過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome=IBS)と言い、日本人の10~15%に認められ、10代後半~40代に多く、女性に多いようです。IBSはパニック障害(Panic Disorder=PD)がよく合併します。PDとは突然起こる激しい動悸や発汗、息苦しさから、死の恐怖に襲われる「パニック発作」と「予期不安」を生じる病気です。
風呂場やエレベーター、乗り物、交通渋滞など逃げ場のない空間や、発作を起こした場所を避けようとします。100人に2~3人いるようです。IBSとPDを合併し、このような場所や空間に遭遇すると、恐怖感で強い便意を催し慌ててトイレに駆け込む場合や、便失禁をしてしまうこともあります。
このIBSやPDの発症と経過には暴飲暴食、不規則不摂生な生活、元来体質的に自律神経の働きが不安定、不安を感じやすいという傾向だけでなく、ストレスへの対処がうまくないなどの要因が関与しています。特に人間関係におけるさまざまなストレスに対して自分の感情や欲求を意識的・無意識的に抑え、相手の期待に応えようと過剰な努力を払う方に多いようです。
従って、その治療は生活習慣の改善や薬物療法だけでなく、ストレスを適切に対処できるように心身両面からのアプローチが必要です。専門医と一緒に、「無理をしすぎたり、頑張りすぎたり」している病気の成り立ちを振り返り、適切なストレス対処法を身に付けると必ず良くなり、自分を成長させていけるチャンスにもなります。
大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病などもIBSと似た便通異常を引き起こします。過換気症候群や甲状腺の病気などはPDと似た症状を呈することがあり、これらの病気としっかり見分けることも大切です。