緊急避妊ピル

金武弘美・美里女性クリニック(2014年4月29日掲載)

自らの意思で選択を

 「知らないのは愚か、知らせないのは罪」とまでいわれ、世界で広く普及されている緊急避妊法。他国より遅れましたが、日本でも2011年、レボノルゲストレル(LNG)製剤が、緊急避妊ピルとして正式に承認されました。最近はモーニングアフターピルとして認知度が上がり、20代前半の患者さんの受診が多いように思います。彼女たちいわく、「将来、赤ちゃんがほしいから」と自分たちの意思で賢く選択しています。


 緊急避妊ピルとは、避妊措置に失敗した、または、避妊措置をしなかった性交後に、緊急的に用いるものです。通常の経口避妊薬のように計画的な避妊方法ではなく、最後の手段です。72時間以内に服用し、その効果は排卵の抑制、あるいは排卵の遅延と着床の阻害によるものと考えられています。


 妊娠を100%阻止するというわけではなく、数%は妊娠することもあります。生殖医学では、妊娠は受精の時点ではなく、着床の時点で成立すると規定されています。そのためモーニングアフターピルは、人工妊娠中絶薬とは見なされていません。副作用は、一時的に不正出血、頭痛、吐き気、倦怠(けんたい)感、眠くなるなどの症状がみられることもありますが、全然起こらない場合もあります。


 日本では、性や避妊法についてはタブー視されていますが、そこにきちんと向き合うことはとても大切なことだと思います。女性が自分自身の人生設計の上で、知らないより知っていた方が、より自分らしい生き方が選択できると思います。


 緊急避妊は自分だけの意思でできます。望まない妊娠をあきらめざるを得ない状況の時、一つの選択肢に入れてみてはどうでしょうか。そして今後は、計画的でより確実な避妊法を提案します。


 どうしよう…と迷っているうちに72時間は過ぎていきます。ひとりで悩まず、まず相談してください。これからの人生が心身共に健やかでありますように、願っています。

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