肺炎
今村昌幹・県立八重山病院(2014年4月8日掲載)
死亡者95%が高齢者
高齢者の増加に伴って、肺炎が死因の第3位になりました。肺炎による死亡者の95%余りが65歳以上で、85歳以上の「超高齢者」では死因の第1位です。その大部分が誤嚥(ごえん)性肺炎だといわれています。
誤嚥とは食物や唾液が、のみ込む時に通るべき食道でなく間違えて気管に入ってしまうことです。健康な人でも誤嚥をすることがありますが、しっかりむせて誤嚥されたものを気管から排除するので肺炎にはなりません。
高齢者は脳梗塞などの病気が多く、のみ込む力が低下するだけでなく、むせという抵抗力が弱くなり肺炎にかかりやすいのです。食物や唾液が気管に流れ込んでもむせない不顕性誤嚥もよく見られるので、むせがないから安心ともいえません。
誤嚥性肺炎の予防は、嚥下(えんげ)リハビリテーションで誤嚥を予防し、口腔(こうくう)ケアで口の中の細菌を減らし、嚥下検査などを参考に食材、調理法、食べる姿勢や一度に口に入れる量などに工夫をします。
そのほかインフルエンザ・肺炎双球菌のワクチン接種、栄養状態の改善も大事です。胃ろう(胃に直接栄養を注入する方法)は必ずしも誤嚥の予防に有効ではないようです。
誤嚥性肺炎で入院し、検査で誤嚥を繰り返していると分かった超高齢者でも、本人やご家族の希望で家に帰り、注意を払って口から食べ続けて、長らく肺炎の再発をしない人もいます。
一方で、十分な予防をしても肺炎になることがあります。高齢者ではせき・たん・熱といった特有の症状がないことも多く、診断がついた時には手遅れということもあります。
1898年にオスラーという内科医が「肺炎は老人の友と呼んでもよいだろう」と書き残しています。老人に多い病気というだけでなく、長く患うほかの病気に比べて、死の直前まで苦しむことなく過ごせるという意味で友なのです。
その時に慌てることがないように、人生の最期をどこでどう過ごしたいか、どのような治療を受けたいかを、ご家族やかかりつけ医と相談しておくことをお勧めします。