骨粗しょう症
宮里聡・みやざと整形クリニック(2014年3月25日掲載)
寝たきりの原因に
骨粗しょう症は、骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。2004年にアメリカ国立衛生研究所(NIT)から発表された定義では、骨粗しょう症とは「骨密度の低下と骨質の劣化のため、骨強度が低下して骨折しやすくなる疾患」といわれています。
骨は一生の間、「破骨細胞」が古い骨を壊し、「骨芽細胞」が新しい骨をつくって新陳代謝しています。「破骨細胞」は、骨の表面に張り付いて、酸や酵素で骨を溶かします。この過程を「骨吸収」と呼びます。骨吸収でへこんだ部位に骨芽細胞が来て新しい骨で埋めます。これを「骨形成」と呼びます。「骨吸収」が「骨形成」より多くなり骨の量が減少し、骨折しやすくなっている状態が骨粗しょう症です。
「骨が折れたくらいで助かった」とは、よく言われる言葉ですが、「心筋梗塞くらいで助かった」「脳卒中くらいで助かった」とは言いません。
70代を過ぎると、立った高さからの転倒で「大腿骨(だいたいこつ)近位部骨折」(脚の付け根の骨折)が起きます。約95%の症例で手術加療が実施されますが、受傷後1年で生活機能が約50%に低下するといわれています。そして、認知症や寝たきりになることもあります。
世界の先進国では骨粗しょう症の適切な治療で「大腿骨近位部骨折」が減っているのに対し、日本では、骨粗しょう症の適切な治療を受けていない人が約80%もいるため「大腿骨近位部骨折」は、まだ増え続けているようです。
寝たきりの原因の第一位が脳卒中、第2位が老衰、第3位が骨粗しょう症による骨折といわれ、高齢社会が抱える問題の1つとなっています。
せっかく長生きをしても、寝たきりではよくありません。生き生きとした生活を送ることを誰しも望みます。骨粗しょう症の予防と治療における目的は、骨折を予防することによって日常生活の活動度(ADL)と、生活の質(QOL)を維持向上させることです。
“沈黙の疾患”と呼ばれる骨粗しょう症は、まず骨量測定を行い、早期の段階できちんと治療し、寝たきりになるのを防ぐことが大切です。