骨盤位分娩

平岡邦彦・南部徳洲会病院(2014年2月11日掲載)

逆子のお産 今と昔

 先日、初産婦さんの逆子のお産がありました。母子共に元気で、幾つかの偶然が重なった幸運な結果でした(当初は帝王切開を予定していましたが…)。


 ここで読者の皆さんの中には、「わざわざ新聞に書くほどのことなの?? 幸運って??」と、少し違和感を持たれる方もおられると思います。分娩(ぶんべん)経過の詳細は割愛しますが、逆子(以下、骨盤位)の経膣(けいちつ)分娩は最近では大変珍しいことなのです。


 では骨盤位の場合、どのような分娩をしているかというと、ほとんどの病院では帝王切開の選択をしています。通常の分娩では赤ちゃんの頭部が先進します。赤ちゃんの体は頭の部分が一番大きく、陣痛が始まると少しずつその大きな頭で産道を押し広げながら下降し娩出(べんしゅつ)(お産)となります。


 一方、骨盤位の場合には先に殿部(でんぶ)(お尻)が先進し、続いて体積の大きい頭部の娩出となるため、産道が十分に伸展されないまま、最後に頭部が引っ掛かってしまう難産となることが多いのです。その際に、できるだけ早く産道から脱出できなければ、臍帯(さいたい)(へその緒)が圧迫され、出産直前に生命の危機が生じてしまうのです。


 骨盤位分娩の際は、産科医により骨盤位牽出(けんしゅつ)術という手技を行い出産に導きます。しかしながらこの手技は、難易度が高く豊富な経験も必要です。この技術を有する産科医も年々減少してきています。その結果、かつては行われていた「逆子のお産」は次第に敬遠されるようになりました。赤ちゃんの合併症回避を最優先とする考え方により、帝王切開が選択されているのが最近の現状なのです。


 骨盤位のまま分娩(帝王切開)に至る頻度は3~5%です。通常は妊娠中期から後期にかけて自然に頭位へと変わることが多いのであまり心配することはありませんが、幾つかの胎位矯正法もあります。まずは、かかりつけ医と相談してみてください。

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