放っておくと怖い「尿路結石」
新井浩仁/翔南病院泌尿器科(2022年6月23日)
無症状で進行 腎不全に陥ることも ~沖縄県医師会編
「尿路結石」の怖さ、ご存じですか? 腎臓で作られた尿は尿管へと流れ、膀胱(ぼうこう)から尿道を通り体外に排出されます。これら尿の通り道に結石ができる病気が「尿路結石」です。多くは腎臓で発生し、尿の流れに乗って移動。その時、どこに在るかによって腎結石↓尿管結石↓膀胱結石↓尿道結石へと呼び名が変わります。
尿路結石の痛みは3大疼痛(とうつう)の一つとも言われ「尿路結石=激痛」とイメージされる方も多いと思いますが、怖いのは「痛み」だけではありません。腎結石の多くは無症状で進行(増大)し、尿管結石では気付けば腎不全(腎機能障害)に陥っているということもあります。
痛みを感じるのは大半が「尿管」結石。腎臓から移動してきた結石が尿管に詰まり、尿が流れにくくなることで腎臓が腫れて痛みを生じます。ただ、人間の体は変化の乏しい状況には意外と鈍感なため、腎臓の腫れが数日続くと痛みを感じにくくなり、そのまま放置されてしまう患者さんもいて将来に大きな問題を残すことがあります。
皆さんの中には「痛みがなくても、尿が出にくくなるから気付くでしょう?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、腎臓は左右合わせて2つあり、結石が尿管に詰まっても反対側の腎臓からは問題なく尿が出るため、尿の出方で尿路結石に気付くことはあまりありません。
では、放置された場合どのような問題を生じるのでしょうか? 尿管に詰まったまま何の処置もしないと、腎臓に負担がかかり続け、最終的には腎臓が萎縮(機能低下)してしまい、そうなると元には戻りません。その後、仮に反対側の腎臓にも何らかの障害を生じた場合には、腎不全となり透析が必要になることもあります。
もしも尿路結石と言われたら「完治」と言われるまで通院を続けること。また、尿路結石は再発率が非常に高いため、過去に1度でも指摘されたことのある方は、定期検査(エコー検査が必要。人間ドックでも可)を最低でも年1回は受けて頂くことが大切です。