肥満者も非肥満者も「真剣に向き合う時期がきた」新型コロナ重症化リスク高い肥満症

伊敷洋平/中山良朗 琉球大学大学院医学研究科内分泌代謝・血液・膠原病内科学講座
(2022年1月13日 )

~沖縄県医師会編


 2021年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に苦悩する日々が長く続いていました。感染状況によっては屋外の活動が満足にできない状態があり、太ってしまったという話をよく耳にします。沖縄県は全国と比較して肥満者の割合が多い地域です。県保健医療部が16年に実施した調査によると、全国平均の肥満者の割合(年齢調整値)が男性29・8%、女性17・4%に対して、沖縄の肥満者の割合は男性37・9%、女性24・5%と群を抜いて高いことが明らかになっています。


 肥満は糖尿病や高血圧症・脂質異常症などの生活習慣病と密接に関連しています。さらに、COVID-19重症化の危険因子の一つであることが欧米や中国から報告されています。つまり肥満を改善すれば生活習慣病の改善を期待できるのみならず、COVID-19の重症化を抑える可能性があります。


 では痩せるために私たちが実践できることはなんでしょうか。(1)玄米のように、栄養価が高く血糖値が上がりにくい食品を摂取する(2)食べる順番と食べ方を意識する(例・野菜から食べる、よくかむ)(3)運動習慣をつける-の3点を維持することが重要です。しかし、生活習慣改善を行っていても痩せられない方がいます。生活習慣改善でも減量できない方で一定の要件を満たせば減量・代謝改善手術という選択肢もあります。1953年に米国で初めて実施されたのを皮切りに、82年に日本(千葉大)、2015年から沖縄でも行えるようになり日本でも徐々に普及しています。


 肥満は、だらしない個人の問題という考え方がありましたが、近年ではさまざまな病気と深く関連していることが明らかになってきており、集団・社会全体で対策を考える時期にきていると私たちは考えます。単なる体形の問題ではなく健康や生命に対して深刻な影響を与えるという認識に改めること。個人に解決を求めるのではなく、非肥満者も肥満者に対して何ができるか考えること。輝かしい沖縄の未来のために、この2点を軸に皆で肥満症に対して真剣に向き合ってみるのはどうでしょうか。

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