声が詰まったり震えたりする原因は?

喜友名朝則/琉球大学大学院医学研究所 耳鼻咽喉・頭頸部外科(2021年11月25日掲載)

病気の可能性に要注意 ~沖縄県医師会編


 誰でも緊張したりすると声が詰まったり、震えたりすることはあると思います。緊張する時に一時的であればいいのですが、普通の会話でも声が詰まったり、震えたりする症状が続き会話に支障を来し、仕事ができなくなったり、社会生活が送れなくなったりする方がいます。


 耳鼻咽喉科を受診して内視鏡で声帯を観察しても声帯には異常はなく、特に病気はないとしてそのまま経過観察になることがあります。あるいはストレスが原因であると言われ、心療内科や精神科を紹介されることもあります。


 もちろん明らかなストレスがあって声の異常が出る場合もあるので、心当たりがあるのであればそれで良いのですが、もしご自身でストレスが原因ではないと考えるのであれば、それ以外の病気が考えられます。


 声の詰まり、震えがある場合、主な病名としては筋緊張性発声障害、本態性音声振戦症、けいれん性発声障害があります。いずれも声帯を含む喉に異常はありません。これらはストレスが原因ではなく、声の出し方や声帯の筋肉の異常運動が原因と考えられています。そのため、それぞれの病気に対応した治療が必要になります。


 筋緊張性発声障害は声の出し方を変えていく音声リハビリ、本態性音声振戦症は震えを抑える内服加療、けいれん性発声障害はボツリヌス注射で筋肉をまひさせる、あるいは声帯の部分を広げてチタンプレートで固定する手術をすることで症状が軽快します。けいれん性発声障害の治療は2018年から保険適応となり、全国で治療が行えるようになっています。


 これらの症状は、患者さん本人にとってはかなりつらいものですが、他人にはそのつらさが伝わりにくく、非常に悩んでいる方も多いです。コミュニケーションが取りにくいため仕事ができないなど、社会的な影響もあります。


 このような方がいらっしゃいましたら、お近くの耳鼻咽喉科医に前述のような病気の可能性はないかぜひお尋ねください。

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