感染リスクは「1密」でも
立花祐毅/県立八重山病院総合診療科(2021年9月9日掲載)
「家にいる」「人と距離をとる」の徹底を ~沖縄県医師会編
ワイドショーや新聞報道で毎日、新型コロナウイルスの注意喚起を目にします。東京や大阪に比べると沖縄では新型コロナ患者の絶対数は比較的少なく、もはやコロナ慣れしてしまいインパクトは小さいですが、人口10万人当たりに換算すると新規感染者数は都道府県別で常にトップレベルです。この小さな島でどの都道府県も経験したことのない危機的状況に沖縄は直面し続けています。
その危機はまず病院やクリニックを受診する患者さんに現れます。熱がある人は病院に電話する手間が必要で、病院に入る際には全員体温測定を行い、熱があれば個別の問診をして、発熱外来という別室に完全隔離されます。入院患者さんの家族は面会が禁止となり、危篤状態でもなかなか面会できず、次に会えるのはお亡くなりになった退院でのタイミングとなっているのが現状です。
沖縄では大型連休後に必ず新型コロナ患者が増加します。これはある意味仕方のないことですが、そこを担保する医療体制が喫緊の課題です。患者が増加をたどると、平時に比べマンパワーが圧倒的に不足します。その状況下では時に感染予防対策に抜けが生じえます。
メディアでは「3密を避ける」があたかも感染予防のメインであるかのように報道されていますが、感染力の強い変異株が日本に入ってきてから、現場で患者さんのお話を聞いている感覚としては「1密」でもあれば十分感染のリスクがあります。とにかく「家にいる」「人と距離をとる」の2点を強調したいです。やむを得ず距離がおけない外出や仕事がある時などには「マスクを装着する」をいま一度徹底していただきたいです。国に出してほしいメッセージは簡潔に「家にいる」と「距離をとる」。県や自治体はそれを正しく住民に伝え、住民は切実に受け取ってほしいです。
行政、住民、医療が「one team」で取り組むことで現在の何十倍、何百倍もの感染予防対策になり得ます。そのための緊急事態宣言であるべきだと思います。