認知症40%が予防可能

城本高志/大浜第一病院(2021年8月26日掲載)

ポイントは「耳・運動・血圧・糖尿病・頭・飲酒」 ~沖縄県医師会編


 65歳以上の高齢者の7人に1人が認知症といわれ、現在、世界には約5千万人の認知症の人がいて、2050年にはおよそ3倍に増加すると予測されています。認知症の大部分を占めるアルツハイマー型は特効薬がないのが現状で、先日新規認知症薬が米国で承認されたニュースがありましたが、適応もごく早期と限定的です。


 そうした状況の中でも昨年、世界的な医学誌ランセットで、衝撃的なデータが発表されました。認知症は約40%の確率で予防可能だというのです。


 予防のための大切なポイントとして、(1)耳を大切にしよう=難聴があると脳が萎縮するため補聴器などで対応し、若者は大音量の音楽に注意(2)運動しよう=週75分の強有酸素運動(ランニング、水泳、サイクリング)と、週150分の中有酸素運動(散歩、庭いじり)を(3)血圧を管理しよう=収縮期血圧を130mmHg未満に抑える(4)糖尿病を予防し、発症したらしっかり治療しよう(5)頭を守ろう=頭部打撲には注意が必要(6)過剰飲酒を避けよう-などが挙げられます。


 万病の元となる喫煙や副流煙、肥満にも十分に気を付けましょう。新型コロナウイルスの感染が広がる中ではさまざまな制限がありますが、家族との会話を絶やさず地域活動に参加するなど、なるべく人とのつながりを持つことや、不眠・食欲の減退・抑うつといった症状があれば早期に受診することも重要です。教育を受ける機会の保障が、予防に役立っているとの研究結果もあります。


 全てを意識して達成することはなかなか難しいかもしれませんが、部分的にでも取り入れることで認知症にならない効果が期待できます。また、発症したとしても進行を抑制することが報告されています。欧米の国々ではこれらの取り組みを進めた結果、認知症の発症率が低下しています。


 認知症はみなさんの身近にある、誰でもなり得る病気です。予防や症状の進行を抑えられるよう、まずはできることから行動してみませんか。

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