お通じは何日なかったら便秘?

仕垣幸太郎/大浜第一病院(2021年7月22日掲載)

排便トラブルの背景に病気 ~沖縄県医師会編


 「便秘」とは何でしょうか? どのような時に便秘になったと感じますか? 人によってこの答えは変わってきます。


 2017年に「慢性便秘症診療ガイドライン」という便秘に関する日本の基準が提唱されました。これによると「便秘」とは「本来体外に排出すべきふん便を十分量かつ、快適に排出できない状態」と書かれています。つまりは十分な量のお通じをスッキリだせないと感じたら便秘としますということです。


 ここでの要点は3つです。1つ目は何日お通じがなかったら便秘と決めていない点です。排便は毎日ある必要はありません。数日に1回であってもよいのです。2つ目は便秘が「状態」であり「病名」ではない点です。病名ではないので、便秘には原因となる病気が背景にある可能性があります。これを突き止めることも重要になります。3つ目はスッキリ出せる排便かどうかです。便は出るけどもスッキリ出せないという状態は、例えばかなり強くいきまないと便を出せない、便は出るけれども便がまだおしりの中に残っている感じがするなどがあります。


 便秘になったらどのように対応しますか? 便秘には下剤が思い浮かぶと思います。下剤は「刺激性下剤」と「非刺激性下剤」の大きく2つに分類されます。刺激性下剤は腸を刺激して動かし、便をお尻近くまで運搬させる働きがあります。効果の強い薬ですが、くせになったり効果が弱くなったりするため、毎日内服せず必要時のみの使用となります。そして非刺激性下剤は便に水分を含ませ柔らかくする薬で、緩下剤とも呼ばれます。これはバナナのような硬さになるよう毎日適量を内服するのが望ましいです。


 下剤には多くの種類があり、患者様の便秘の種類や傾向に応じて量を調節したり組み合わせたりする必要があります。さらに便秘の種類を特定するための専門的な検査(大腸カメラ、排便造影検査など)を行う必要が出てくる場合もあります。市販のお薬を3カ月以上使用して快適な排便を得られない時は専門病院への受診が望ましいです。

このページのトップへ