突然トイレにいきたくなる

城間和郎/なごみ泌尿器科クリニック(2021年7月8日掲載)

生活に悪影響を及ぼすおしっこの悩み ~沖縄県医師会編


 おしっこに関する悩みは年齢とともに多くなりますが、特に尿漏れは恥ずかしさから誰にも相談できず、こっそり尿取りパッドを使用している方も多く見られます。


 尿漏れの原因はさまざまですが、中でも「過活動膀胱(ぼうこう)」は膀胱が尿でいっぱいになる前に、自分の意思に反して膀胱が勝手に収縮してしまう状態で、突然トイレに行きたくなり、待ったがきかない(尿意切迫感)、トイレまで間に合わずにちびってしまう(切迫性尿失禁)などの症状があり、日常生活に悪影響を及ぼします。


 最近の調査では、40歳以上の日本人の14・1%に当たる1040万人と推定されており、年齢とともに頻度は上昇します。


 過活動膀胱の原因は、脳や脊髄など神経の病気で起こるタイプと、膀胱に何らかの刺激が加わって起こるタイプがあります。


 診断は、詳細な問診と、過活動膀胱と症状が似た病気(膀胱がん・前立腺がん・膀胱炎・前立腺炎・膀胱結石など)を除外するため、尿検査と超音波検査で、膀胱内部や前立腺の状態を確認します。


 治療は、過敏になった膀胱の収縮を抑える抗コリン薬の内服が有効ですが、緑内障の一部で禁忌だったり、口の渇きや便秘の副作用が出る場合があります。


 そのため最近では「選択的β3アドレナリン受容体作動薬」が過活動膀胱の治療に用いられるようになり、副作用で抗コリン薬が使用できなかった患者の治療も可能になりました。


 これらの内服薬で症状は改善しますが、薬の副作用で残尿が増えたり、排尿困難が生じる場合もありますので、定期的な検査は必要です。また、過活動膀胱の患者さんでは、尿漏れの不安から早めにトイレに行く傾向がありますので、少しずつ尿を我慢して膀胱を広げるトレーニングを併せて行うとより効果的です。


 皆さんも快適な生活を取り戻すために、諦めたり恥ずかしがったりしないで、一度、泌尿器科を受診してみてはいかがでしょうか。

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