ホルモンの変化も一因
普天間朝上/与那原中央病院(2021年2月25日掲載)
女性の手の悩み ~沖縄県医師会編
女性は男性と比べ関節が柔らかく、また女性は妊娠出産をします。これらは女性ホルモンが関与しています。40代になるとホルモンバランスが変化し更年期障害を引き起こすことはよく知られています。このホルモンバランスの変化で整形外科疾患も引き起こされます。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)が代表疾患です。しかし、これだけではありません。肩凝りや手の障害も発生します。
「指を曲げ伸ばしするときにひっかかる」「起床時手がこわばる」「指が強く曲がらない、または伸びない」「親指を曲げると手首が痛い」「指の関節が腫れて痛い」「瓶の蓋(ふた)を開けるときに母指の付け根が痛い」「朝方手指がしびれてきて、ひどいときは目が覚める」
これらは▷ばね指(指の屈筋腱(くっきんけん)の腱鞘炎(けんしょうえん)により腱鞘が腫れ、腱がスムーズに滑走できない)▷ドケルバン病(母指の第2関節を伸ばす腱の腱鞘炎で母指に力を入れると手首の親指側が痛く、腫れる)▷手指の関節の変形(第1関節の変形をヘバーデン結節、第2関節の変形をブシャール結節といい、関節が盛り上がり、力を入れると痛い。進行すると横に曲がった状態に変形する)▷母指CM関節症(CM関節とは母指の手前の骨と手首の小さな骨との間の関節のこと。関節がゆるくなり瓶の蓋を開けるなど母指に力を入れるときに痛む)▷手根管症候群(手首で神経が圧迫され手指がしびれる)-によるものです。腱鞘や関節では腱や関節がスムーズに動くように滑膜から滑液という潤滑油を産生します。滑膜にはエストロゲンレセプターがあり、ホルモンバランスが変化すると更年期では滑膜が増殖し前述のような症状を引き起こします。
ちなみに冒頭で述べた骨粗鬆症によって起こる最初の骨折は手首の骨折(橈骨(とうこつ)骨折)です。転倒して手をついて起こることが多く、「転んで骨折した」とケガで骨折したと思っていませんか?骨粗鬆症により骨がもろくなって起こっているかもしれません。年のせいだけではありません。気になる方は病院を受診してください。良い解決策が見つかるはずです。