過量飲酒 脳障害発症も
仲本政雄/博愛病院(2021年1月14日掲載)
生活習慣病としてのアルコール依存症 ~沖縄県医師会編
2020年はコロナで明けコロナで暮れた1年でした。
感染防止のため、県民は自粛生活を余儀なくされ、多くの娯楽も制限され、ストレスは増大するも、その解消法も奪われ、中にはその代償として酒やテレビゲーム、食事、スマホ等、身近にある手軽なものにハマりそれへの依存度が高まり、ついにはアルコール依存症、テレビ依存症、スマホ依存症、過食症等種々の依存症に陥る人も少なくありません。
種々の依存症は生活習慣病みたいなもので、毎日習慣的に繰り返される行為はなかなか変更できないものです。特に麻薬等依存性の強い物質を断つことは困難であります。
アルコール類も依存性があり、我が国には約292万人ものアルコール依存症者がおり、また問題飲酒者とされるアルコール依存症予備軍が593万人もおり、大きな社会問題となっております。
最初は卒業式や歓送迎会、お祝い等で先輩らに勧められて、お付き合いで飲み始めたお酒も、初めのうちは二日酔いで苦しい思いをする人が大半ですが、そのうちに酩酊下の楽しい雰囲気が忘れられず、飲酒の機会が次第に増えるようになります。また特に酒に強い人は、飲酒後の頭痛や吐き気等の不快症状が少ないため、ついつい過量飲酒となりがちです。
このようにして飲酒習慣が定着しますと、酒を飲まないと眠れない、イライラする等の依存症の初期症状がみられるようになり、ますます酒がやめにくくなり、過量飲酒のために仕事も休みがちとなり、しまいには毎日昼間から酒浸りとなり、生活が破綻してしまいます。そうなる前に最寄りの断酒会やアルコール専門の精神科に相談するのが望ましいものです。
そのまま放置すると、脳細胞が破壊され脳がスカスカとなり、記憶力が著明に障害され、若くして重度の認知症になってしまいます。
どんな病気でも早期発見、早期治療が大切です。