喘息・COPDの吸入薬

玉城仁/仲本病院(2020年10月22日掲載)

上手な吸入 効果につながる ~沖縄県医師会編


 吸入療法を聞いたことがありますか。吸って肺に入れる薬剤を吸入薬と呼び、それを吸うことを吸入療法と呼びます。吸入薬には、吸入ステロイド、気管支拡張薬、抗インフルエンザ薬があります。風邪、高血圧・糖尿病・コレステロールの治療で飲み薬は飲み慣れていると思いますが、吸入薬はなじみがなく患者さんから面倒だ、忘れが多い、飲み薬での治療がいいというご意見を聞くことがあります。


 しかし、吸入薬は気管支喘息(ぜんそく)や慢性閉塞(へいそく)性肺疾患/肺気腫(COPD)の治療で中心的な役割を担い、飲み薬以上に有効な薬剤なのです。かゆいところに軟膏(なんこう)を塗り、腰痛があると腰に湿布をすると症状が軽快するのと同様に、喘息・COPDで吸入薬を使用すると気管支・肺に直接、薬剤が到達して、気管支粘膜の炎症を鎮めたり、気管支を拡張させたりして呼吸を楽にします。吸入薬は飲み薬よりも少量でよく、全身に作用することはほとんどないため副作用を最小限に抑えることもできます。この重要な吸入薬の効果を十分に引き出すには、薬剤を上手に吸入し気管支・肺に到達させる必要があります。製薬会社ごとに吸入薬が入っている容器(デバイス)が異なり使用方法が違います。吸入療法では、薬剤吸入までの準備、吸入する気流スピード、吸入のタイミング、吸入後の息止め、うがい等の一連の流れを理解・実践する必要があります。これを正しくマスターすることで、吸入薬の効果が全く違ってきます。


 特に高齢者では吸入療法が難しいことが多いため実際に吸入しているのを確認することも大切です。吸入薬を使用しているが喘息・COPDの症状が軽快しない場合、吸入薬がうまく吸えていないことも考えられます。吸入薬の吸入に自信がない、難しいと思われる場合は調剤薬局、または処方された医療機関で吸入方法を尋ねてみましょう。独立行政法人環境再生機構がネット上で各デバイスの使用法を動画で紹介しています。


 治療効果の高い吸入療法、面倒がらずに正しく吸入し継続していきましょう。

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