服用している薬
与那覇朝樹/よなは医院(2020年9月24日掲載)
多くないですか 高齢者ほど副作用注意 ~沖縄県医師会編
症状を改善するために飲んでいるはずの薬も、量や種類が多すぎると副作用の危険が高まる「ポリファーマシー」(多剤服用)が社会問題となっています。ポリファーマシーは患者の健康リスクを高めるだけでなく、薬剤費の無駄にもつながります。高齢者は生活習慣病や老化で多剤服用になりやすい傾向があり、代謝機能の衰えも加わり有害事象の危険性は高まります。ポリファーマシーが原因でふらつき、転倒、食欲低下、便秘、抑うつ、認知機能低下といった症状が生じることがあります。
「高齢者の医薬品適正使用の指針」によると、ポリファーマシーは単に服用する薬剤数が多いことではなく、薬の有害事象のリスクが増えたり、飲み間違いや患者の治療意欲の低下が起きる状態を指します。何種類以上を「多剤とするか」の定義はないものの、有害事象は薬剤数にほぼ比例して増加します。服用薬が1~3種類の場合、有害事象の発生頻度は6・5%だったが、服用数が増えるごとにおおむね頻度は上がり、10種類以上は13・9%だったというデータがあります。単に薬剤の数だけで、薬の多い・少ないを判断するのは難しいです。多くの疾患を抱える患者の場合、適切な処方の結果、7、8剤を処方されるケースもあります。
医師の側、患者の側ともに減薬に踏み切れない理由があります。医師の側からすると、他の病院の他の専門分野の医師が決めた投薬に口を出しづらいということがあります。また、複数の病院で診察を受けている場合、医師も一人一人の患者さんの細かい病歴や服用薬まで把握しきれないこともあります。また、患者の側からすると、薬をたくさん飲んでいることで安心したり、どこか具合が悪いとすぐに病院に行き薬をもらいたがるという面があります。薬は、正しく使えば病気の予防やクオリティー・オブ・ライフ(生活の質)の向上に役立ちます。かかりつけ医やかかりつけ薬剤師に、薬の量と数について相談してみてください。決して自己判断で中止しないことが何より大切です。