おしっこの総合診療科

安次富勝博/あしとみ泌尿器科クリニック(2020年9月10日掲載)

困った症状や悩み相談を ~沖縄県医師会編


 体の調子が悪い時どの診療科を受診したらいいのか自信をもって判断できる方は、ほとんどいらっしゃらないと思います。


 泌尿器科と聞いて、どんな病気を診ているか知っている方も少数ではないでしょうか。尿という漢字が使われているため、おしっこの関係ではあろうとはイメージできると思います。


 泌尿器科は『おしっこの総合診療科』です。100年以上前、東洋医学から西洋医学への移行期、先人らは用語を訳すのに苦心したことでしょう。西洋医学で使われていた「ウロロジー」という言葉を「泌尿器科」と日本語に訳したのでしょう。結果「泌尿器科」は一般の方には何を診ているか、どのような症状で受診するか分かりにくい科となってしまったようです。泌尿器科はおしっこの総合診療科です。なんらかの困った症状・気になることがあれば一度は泌尿器科に相談してみてください。


 「おしっこの悩みは恥ずかしい」と考えてはいないでしょうか。おしっこはうまくいって当然という考えは小さい頃の教育の結果です。おもらしを「粗相」という表現も、おしっこはうまくコントロールできて当然という考えからきているのでしょう。しかし、おしっこがうまくコントロールできるのは人生のごく一時期であることは知られていません。幼少期はおねしょ・おもらし、壮年期・老年期は頻尿・失禁など人生の半分くらいはおしっこの悩みは消えません。


 「トイレの花子さん」などは小学校の古いトイレのイメージや、同級生の前でトイレに行く「トイレ恐怖・排泄(はいせつ)恐怖」をあらわしたものでしょう。「おしっこはうまくいって当然」という考えは思い込みにすぎないと私は考えています。おしっこがうまくいかない原因は病気や生活習慣など多岐にわたります。


 「おしっこがうまくいって当然」という概念をくつがえすのはなかなか難しいように感じます。おしっこの悩みが改善されれば生活の質はかなり改善が期待できるのではないでしょうか。おしっこの悩みは一度「おしっこの総合診療科」の泌尿器科に相談してみてください。

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